先日、王敏先生から頂いたメールをご紹介します。
伊関さま
いつも感謝申し上げます。
その後、1-4日、中国の軍事パレードに行ってまいりました。
3日パレードの前日・2日、盧溝橋のほとりにある中国抗日戦争記念館を訪ねました。最後の展示コーナー「中日関係と平和友好」に見物者が多かったですが、下手な写真を撮らせていただきました。お送りします。
未来志向を信念にしております。
どうぞ、くれぐれもご健康にご留意のほど、よろしくお願いします。
王敏 拝
以下、王敏先生からお送り頂いた写真をご紹介します。

右:石破茂首相と習近平主席が握手をする写真

石破茂首相習近平主席の握手写真の説明板
説明板の日本語訳
中日両国は互いに隣国であり、共にアジアおよび世界の重要な国です。両国関係は二国間を超えた重要な意義を持っています。
中国は日本と共に歩み、中日間の4つの政治文書で確立された原則と方向に従い、中日両国の「互いに協力パートナーであり、互いに脅威とならない」という重要な共通認識を守り、共に努力して中日戦略的互恵関係を全面的に推進し、新時代の要請にかなった建設的で安定した中日関係を築いていきたいと考えています。
—— 習近平がリマでアジア太平洋経済協力(APEC)首脳非公式会議の期間中、日本の首相・石破茂氏と会見した際の講話(2024年11月15日)

見物者が多かった「中日関係と平和友好」の展示コーナー(上掲、石破首相と習近平主席の握手をする写真が展示してあるコーナー)
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考察:抗日戦争勝利80周年を記念する
中国の真意は日中友好の希求にあった
王敏先生からのメールで改めて
“抗日”の真意を識る
王敏先生からのメールによると、盧溝橋(1937年7月7日盧溝橋事件・現場)にある中国抗日戦争記念館の最後の展示コーナーが「中日関係と平和友好」であり、多くの中国の方々が展示をご覧になっていたとのことです。抗日戦争記念館の最後の展示コーナー、つまり抗日戦争念館の結論・まとめにあたるコーナーがなぜ「中日関係と平和友好」なのでしょう?なぜ「反日」ではないのでしょう?中国で言う“抗日”とは日本のメディアがいう「反日」とはどうやら別物ようです。このことを少し考えてみたいと思います。
鍵は、“抗日”の「日」とは何を指すのかを明らかにすることです。“抗日”の「日」は、平和憲法下の日本国のことではありません。“抗日”の「日」とは、「大日本帝国」の「日」のことであり、「日本帝国主義・日本軍国主義」を指すのです。従って、“抗日戦争”とは、「日本帝国主義・日本軍国主義」に抵抗し戦うこととなるのです。
「日本帝国主義・日本軍国主義」と戦うとはどういうことでしょう。それは、日本の帝国主義者・軍国主義者と一般国民(人民)を区別するところから始まります。周恩来をはじめ中国側は一貫して「侵略戦争の責任は日本の一握りの帝国主義者・軍国主義者にあり広範な日本人民(国民)も軍国主義の犠牲者だ」と表明しています。事実、“新中国戦犯裁判”では、軍国主義の鬼だった日本軍戦犯を真人間に生まれ変わらせ、軍国主義を悔い改めた彼らを極刑に処すことなく生きて帰国させました。帰国後、改心した元戦犯たちは国民(人民)の立場から日中友好はじめ平和運動に取り組みます。戦犯個人を裁くのではなく、侵略戦争を裁き、報復の連鎖を断ち切る新たな平和発展の道を指し示しました。しかし、決して許さないとするのが、悔い改めることの無い侵略戦争を起こしたA級戦犯に代表される一握りの帝国主義者・軍国主義者です。中国が靖国神社への首相や閣僚、国会議員の参拝を厳しく糾弾するのは、A級戦犯が合祀されたからに他なりません。「なぜ日本の指導者が帝国主義者・軍国主義者を拝むのか?!」と厳しく指弾しているのです。
中国は抗日戦争を戦い抜き勝利し、戦犯を悔い改めさせ真人間にして帰国させました。日本側はどうでしょう。日本にも侵略戦争に命がけで反対し戦った数多くの日本人がいました。プロレタリア作家・小林多喜二、反戦水兵の阪口喜一郎、反戦放送の長谷川テル、抗日救国遊撃軍へ武器弾薬を届ける決死行を行なった日本兵・伊田助男、・・・等々。彼等日本人もまた“抗日戦争”を戦ったのです。彼等こそ私たち日本国民(人民)の誇りです。一握りの帝国主義者・軍国主義者は侵略戦争を起こし、3500万人の中国の人々を殺傷し、日本を戦禍で廃墟と化し310万人の戦没者を出しました。中国人民(国民)も日本国民(人民)も日本帝国主義者・軍国主義者の犠牲者であると同時に、共に日本帝国主義者・軍国主義者と“抗日”を戦った盟友でもあったのです。即ち“抗日”とは、日本帝国主義者・軍国主義者に抵抗した日中両国人民(国民)の共通の戦いだったのです。
これに反し、日本国民(人民)と日本帝国主義者・軍国主義者の区別無く曖昧にするのが「反日」」です。即ち「反日」とは、帝国主義者・軍国主義者も含んで全ての日本人(日本)に反対することです。日本国民(人民)と日本帝国主義者・軍国主義者の区別無く曖昧にした元凶は何でしょう。それは、敗戦直後に出された「一億層懺悔」のスローガンです。このスローガンの為、一握りの日本帝国主義者・軍国主義者と日本国民(人民)の区別が曖昧にされ、一握りの日本帝国主義者・軍国主義者の責任が隠蔽されたのです。その為、中国が“抗日”というと全ての日本人を責めている(反日)と勘違いし、多くの日本人が中国に対し誤った敵愾心を持たされてしまうのです。「反日」がもたらすミスリードです。侵略戦争を起こした責任はあくまでも一握りの日本帝国主義者・軍国主義者が負わねばならないのです。
悪いのは、侵略戦争を起こした一握りの日本帝国主義者・軍国主義者で日本国民(人民)は犠牲者だから何の責任もないのでしょうか。それは違います。日本国民(人民)には侵略戦争を押し止められなかった責任があります。
今、中国を最大の脅威とみなすアメリカ(軍産複合体・巨大金融資本)は、「一億層懺悔」のスローガンの結果温存された日本の帝国主義・軍国主義勢力を利用して、新たな対中国干渉(侵略)戦争の最前線に日本を押し出そうと画策しています。私たち日本国民(人民)は東アジアにおける新たな戦争(対中国戦争)を決して望みません。中国人民(国民)も望みません。抗日戦争記念館の最後の展示(結論)コーナーが中日友好(日中友好)だったことを思い起こしましょう。今こそ、侵略戦争を押しとどめられなかった責任を、日本国民(人民)が果たすときです。日中両国人民(国民)は再び日本に帝国主義・軍国主義の台頭を決して許しません。私たち日本国民(人民)は、中国人民(国民)と協力して、帝国主義・軍国主義勢力に抵抗して、必ず東アジアにおける新たな戦争を阻止しましょう。これが抗日戦争勝利80周年を記念する意義であり、“抗日”の真意であり、日中友好の原点でしょう。
(伊関)