平和の響き・友好の声

~平和の響き・友好の声~
中日友好訪中団報告交流会が実り多く、有意義に開催された

9月18日、中国駐大阪総領事館で【~平和の響き・友好の声~中日友好訪中団報告交流会】が開催された。

 

この間、中国各地に残る日本軍による侵略戦争の惨禍の記憶・教訓を記録継承する様々な記念館を訪れた各日中友好訪中団より、それぞれ報告があった。

開会にあたり、方煒総領事代行による挨拶があった。

方煒総領事代行

方煒総領事代行は、

「今日は中国の東北地方の人々にとって、非常に重い一日です。94年前の9月18日、瀋陽の柳条湖付近において南満州鉄道の線路を爆破した日本関東軍は、それを中国軍の仕業であるとし、東北軍の北大営を砲撃、世界を震撼させる『九・一八事変(満州事変)』を引き起こしました。

日本軍はすぐに東北三省を占拠し、長い間企んでいた中国侵略戦争を始め、中国人民に重大な苦難をもたらし、アジアや世界の平和に、決してかき消すことのできない大きな傷跡を残しました。

日本軍は傀儡政権『満州国』を樹立し、植民地支配を行い、数えきれないほどの罪を犯しました。特に恐ろしいのは、悪名高い『七三一部隊』です。

皆様、この痛ましい歴史を心に刻むべく、毎年9月18日、瀋陽の「九一八」歴史博物館にそびえる鐘楼が、定刻に鐘を14回打ち鳴らします。それは、中国人民の14年間に渡る苦しみを象徴するものです。

それは、私たちに歴史の痛みを忘れてはならないと教えてくれる警告の鐘です。九一八の銃声によって日本の中国侵略が始まり、東北地方陥落から南京大虐殺へ、細菌戦から強制労働に至るまで、これらは全て疑う余地のない事実です。

しかし近年、日本国内に侵略の歴史を否定・歪曲し、更に美化しようとする人がいて、歴史を勝手に書きかえ、テキストだとしているようです。私たちは、これを強く警戒しなければなりません。

事実や証拠に基づいて話をすることで、歴史的虚無主義や修正主義に、断固対抗しなければなりません。もちろん、歴史を銘記するのは、憎しみを継続するためではなく、良識を守り抜くためです。

責任を明確にするのは、越えてはならない一線を守り抜くためです。歴史に真摯に向き合ってはじめて、未来への責任を全うすることができ、警鐘を鳴らし続けてはじめて、悲劇を繰り返さずに済むのです。

それはまた、私たちに公正さや正義を守り抜くよう呼びかける平和の鐘です。戦争は家園の破壊、家族の離散をもたらし、平和は安寧と繁栄をもたらします。戦火をくぐり抜けた中日両国は、いずれも平和の尊さを知っています。

しかし、今日の世界は、地政学的紛争とホットスポットが交錯し、世界における紛争の数は第二次世界大戦終結以降最高に達しており、人類の平和・発展事業は、厳しい試練に直面しています。

私たちは平和的発展でゼロサムゲームに対応し、対話・協力によって矛盾・紛争を解消し、公平・正義でジャングルの法則を置き換えることで、平和の鐘の音を大地に響かせながら、手を携えて戦争とかけ離れた、繁栄を分かち合う世界を作り上げていくべきなのです。」

と力強く挨拶をされた。

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

訪中報告のトップをきって、京都府日中友好協会の田中彰寿会長がお話をされた。

田中彰寿京都府日中友好協会会長

田中会長は、弁護士をなさっており、殺人事件裁判で度々殺人犯の弁護をされた経験をおもちだ。殺人犯を弁護する場合、被害者は犯人に対しいかに不当で理不尽な行為をなしたかを例証するとのことだ。これにより犯人はより寛大な量刑により弁護されるとのことだ。ところが、日本の中国侵略戦争では、殺害された中国の市民には何ら落ち度はなく、日本兵に不当で理不尽な行為をはたらいた事実は全くないにもかかわらず惨殺された。全く弁護の余地のない殺人であり、これが侵略戦争の実相だといったことを指摘された。侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(南京大虐殺記念館)などを訪問された真摯な感想とご指摘だろう。

侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館(南京大虐殺紀念館)

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

次に、日中友好協会京都府連合会の石田あきら副会長の報告があった。

石田あきら日中友好協会京都府連合会副会長

日中友好協会京都府連合会の石田あきら副会長は、旧大和ホテル(遼寧賓館)前でのスナップ写真を、学生時代に撮影した写真と今回の訪中で撮影した写真をビフォーアフター形式で紹介され、子供たち(教え子)が折った折り鶴を持参し南京大虐殺紀念館へ贈られた。学生時代に紀念館で受けた衝撃、涙を流し日中友好平和を誓った思い出を語られた。

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

続いて、日中友好協会京都府連合会宇治支部長の本庄豊氏(立命館大学教員)が、【日中友好の歴史を子どもたちに伝えたい ー 撫順の奇跡、日中平和友好条約、『魯迅の愛した内山書店』 など】をテーマにお話をされた。

本庄豊日中友好協会京都府連合会宇治支部長



本庄豊氏は、内山完造と京都宇治の深いつながりを紹介され、上海の内山書店で来客に提供されていたお茶は宇治茶だったなど、興味深いエピソードを紹介された。

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

次いで、岡山市日中友好協会副会長の黒住昭子さんが、黒竜江省ハルピン市にある“侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館”を訪問したことを報告された。

黒住昭子岡山市日中友好協会副会長(右)

黒住昭子さんは、侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館には731部隊の罪業が詳細に系統的に展示されている模様を報告された。語るは辛く痛ましくとも、日本の皆さんに後世に伝えねばならないと意を決して話をされる真摯な姿に感銘を覚えた。

侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

また、北京の中国共産党歴史展覧館などを訪れたアジア記者クラブ前代表の森広泰平氏は、「戦争で日本はアメリカの物量や先進兵器に負けたなどと言われるが、中国人民の抗日の戦いに負けたというのが真実だ」と指摘された。

森広泰平氏

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

平和を考え行動する会の萬谷朱音さんは、若者らしく素直で真心こもる語り口で、平和友好をうったえられた。

萬谷朱音さん

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

報告会では華僑の皆さんも発言された。

西日本両岸和平統一促進会会長の鄭正勝氏は、中国人民抗日戦争世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典に出席した模様を報告された。「正義は必ず勝つ、平和は必ず勝つ、人民は必ず勝利を収める。各国人民は手を携えて人類運命共同体ともに構築し、平和な未来を創ろう・・・」と、習近平国家主席の演説を紹介され、パレードの様子を感動を込めて報告された。

鄭正勝西日本両岸和平統一促進会会長

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

大阪華僑総会会長の趙知理氏は、抗日戦争世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典に参加できたことを大変光栄に思うとのべられ、新中国は一度も他国を侵略したことはなく、平和を求める心は中国人民の伝統だと指摘された。大阪華僑総会は、中日友好・民間交流に頑張って取り組むことを表明された。

趙知理大阪華僑総会会長

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

愛媛華僑華人連合総会会長の林全南氏は、抗日戦争世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典でのご自身の参加パスを披露されて、「これにチップが入っており、顔認証から何から何まで全てできるのです。この辺りは実は日本より進んでいるんですよ・・・」と面白おかしく話をされ、会場からは笑が起こった。

林全南愛媛華僑華人連合総会会長

――――――――― * ――――――――――――――― * ―――――――――

最後に、魏有美副総領事が挨拶をされた。

「九・一八事変(満州事変)、731部隊について・・・。訪中団の日本の皆さんがご自身の感じたことをお話し下さり、私は深く共感し、感動しました。この歴史を忘れてはならない、この記憶を代々受け継がなければならない。憎しみではなく、責め続けるためでもなく、歴史を鑑とし、過去の苦難や痛みを私たちが平和を守るための力に変えていくため、そして、今日の幸せな暮らしをもっと大事にするにはどうすべきかを歴史に教えてもらうためです。」と述べ、~平和の響き・友好の声~中日友好訪中団報告会を締めくくられた。

魏有美副総領事

報告会の後、参加者全員で交流会が行われた。 
(報告:伊関)