日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№28

 安倍晋三の死去に際し、台湾では安倍の銅像が建立され、さらに賴清徳・民進党政権は教育部の国家予算を使って、国立政治大学に「安倍晋三研究センター」を設立したという“恥ずかしすぎる”ニュースが舞い込んできました。
 日本国内を含め、世界中で「安倍晋三」の“業績?”を頌えるこうした施設は聞いたことさえありません。 賴清徳はその開所式に出席し、安倍のお陰で台湾の平和が保たれ、まるで台湾の救世主であるかのような賛辞を述べたそうです。

 賴政権の異様とさえ言える「親日・媚日」ぶりは、「親米・媚米」一辺倒であった蔡英文前政権との“差違”と言えるでしょう。事の善し悪しは別にしても、台湾の今日に至る存続はアメリカの“おかげ?(*その実、アメリカの対中国・アジア戦略によるものですが・・・)”ではあっても、日本(安倍)の“自主戦略”など、まったく影響していません。
 台湾危機(?)に際しての第七艦隊による台湾海峡の封鎖、その後延々と続く武器提供を挙げるまでもなく、台湾を対中戦略の“駒”として利用し続ける故に現在の「台湾の位置」があります。もしそれらが無ければ、台湾がとっくの昔に統一されていることは世界の“常識”の域に属することでしょう。

 「台湾人は日本人であった」、「台湾は日本のおかげで発展した」、「光復(*植民地からの解放と祖国復帰)はなかった」「日本の敗戦は我々にとっても不幸であった」・・・等々、歴史事実さえ公然と歪曲、否定する言質が賴自身やその政権の主要閣僚から次々と飛び出しています。無論こうした言質は偶然でもなく、個別の事象でもありません。賴政権の本質を如実に示していると言えるでしょう。

 ところで、当たり前のことですが、植民地「台湾人」はこれまで「日本人」であったためしはありません。一貫して「(“支那族”系統の)本島人」と称され、日本法制の枠外に置かれ続けた存在でした。
 「日本による植民地支配のおかげで台湾が発展した・・・」麻生太郎などが公言し、右翼を中心に日本の“常識?”とさえなっている言質です。その典型としてよく「八田與一」という人物が挙げられます。「台南でダムを造り、台湾の稲作生産量を倍増させ、台湾民衆から“神”のように崇められている・・・」とされています。因みに、小林よしのりの『台湾論』等でも詳しく紹介されています。賴清徳はその慰霊祭に毎年欠かさず参列しています。

 さて、その実態はどうでしょう?
 八田が台南でダムを造ったのは事実です。それによって下流域農民はそれまでの甘蔗からの転作を強いられ、その借金を返せないまま、日本の製糖会社に農地を買いたたかれました。そして台湾の農民たちは小作農として稲作を強要されます。この為、台湾の米生産量は倍増します。
 ところが、問題はこの米の行方です。そのすべてが日本兵を養うための「軍糧」として日本本土に送られています。日本側の資料に基づいても、増産しながら台湾の農村で飢饉が起こった事実が記されています。 日本の意図は、明確に台湾を日本の侵略戦争を支える為の「軍糧」の生産基地するというもので、当然、台湾民衆にとってそれは何ら“恩恵”であろうはずはありません。八田はその“先兵”の役割を担ったものです ついでに言うと、このダムの落成式には台湾人の一人として招待されず、参加していません。加えて、このダムそのものも戦時中の急ごしらえと設計ミスなどによる粗雑なもので、数年後には土砂の堆積で使用不能になり、1959年国民政府が新たに建て替えたものです。賴清徳などがこの八田の慰霊祭に毎年参拝し続けているわけです。

 台南地域は日本の侵略と植民地支配に対する抵抗運動が盛んな地域でした。台南には多くの抗日烈士を輩出し、日本軍による虐殺の犠牲者を追悼する施設がありますが、彼らはそこを参拝し、抗日烈士を頌え、犠牲となった台湾民衆を慰霊する気持ちは欠片も持ち合わせていません。それも本来は台湾人の思いを代表する「総統」となれば、それを「植民地の悲哀」では済まされないと思えます。
 日本による植民地支配から解放されて今日の台湾があることを否定する人はいないでしょう。にも関わらず、植民地支配と「皇民化政策」による“遺毒=洗脳”が80年以上が経っても生き続ける現実を私たちは目にしています。
 「台湾」ほどではないにしろ、こうした“歴史観の逆転”は「韓国」でも、「香港」でも、「フリッピン」でも・・・世界の各地で見え隠れしています。
 その最たる例が実は日本かも知れません(*真逆の立場ですが・・・)。かつての侵略戦争を反省し、平和国家の道を進むと言いながら、その侵略戦争を担った「戦犯」や「皇軍」を祭る「靖国神社」に平然と参拝する政府閣僚や「国民」たち。

 侵略戦争に熱狂する社会にあって、日本にも、その数は多くなくとも、命をかけて「反侵略」を闘った人々がいます。彼、彼女たちの慰霊碑や追悼施設を日本の「国民」と国家が建立し、追悼行事を行うのが本来の姿ではないでしょうか?残念ながらそれさえ“想像もできない”現状が私たちの目の前にあります。
 「台湾」と「日本」を結ぶこの忌まわしいこうした意識こそが、「台湾有事=日本有事」という妄言に繋がっているのかも知れません。

2025/10/10  墨面記

余談:最近、台湾の国防部が小冊子を発刊しました。民衆の「戦時の心得」を記したものです。その中で、台湾不利な情報はすべて「デマ」で、それを吹聴するのは「共産党のスパイ」と言うわけです。
その冊子では、台湾人に「徹底抗戦」を求めています。
ところで、賴清徳本人や閣僚たちの子息の多くは安全なアメリカにいます。「戦意を高めたい」なら、彼、彼女たちを帰国させろ!と非難する声が上がっています。賴一派が台湾民衆が徹底抗戦して血を流している間に、アメリカや日本に逃げ延びようとする下心はとっくに見抜かれているようです。
思えば、ウクライナでも同じようなことが起こっていますね。