「台湾有事は存立危機事態」(高市発言)を撤回せよ!

 


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中国軍機から自衛隊機がレーダー照射された問題・・・日本政府は照射されたレーダーの波形を開示せよ!

12月7日午前2時、小泉防衛相が緊急記者会見を開き、6日午後4時32分から約3分間と同6時37分から約30分間の2回、対領空侵犯措置を実施していた空自のF15戦闘機が、中国海軍の空母「遼寧」を発艦したJ15戦闘機から断続的にレーダー照射を受けたと発表した。(午前2時という発表時間については、なぜ前日の夜またはよく朝ではダメなのか疑問が残る。「緊急事態」という演出効果を考えたか?)

 

小泉防衛大臣は「対領空侵犯措置」をとっていた自衛隊機がレーダー照射を受けたと言っているが、「対領空侵犯措置」とは具体的に何をすることか?

「レーダーや早期警戒管制機で周辺空域を監視し、領空侵犯の恐れがある航空機を発見する(探知・識別)。戦闘機を即座に発進させ、対象機に接近して状況を確認する(緊急発進=スクランブル)。領空に接近する航空機の行動を監視し、必要に応じて追尾する(監視・追尾)」ことだ。

実際、小泉防衛相は「緊急発進した自衛隊機がレーダー照射を受けた」と報告している。中国軍が訓練している中へ割って入って追跡するというのは常識では考えられないような危険な挑発行為だ。

小泉防衛相は近くに沖縄本島など日本の領空があるから「対領空侵犯措置」をとったのは当然と言っているが、ここで問題になるのは、中国から事前に訓練をするという情報があったかどうかだ。

小泉防衛大臣は、9日の衆院予算委員会で「艦載機などの訓練海空域に関するノータム(航空情報)や航行警報が事前に通報されていたとは認識していない」と述べ、事前に公表していたとの中国の主張に反論していた。小泉防衛相はこのことを「対領空侵犯措置」をとった理由の一つとしていた。 ところがその夜、中国側は「自衛隊側に通報したという音声データ」を公表したため、小泉防衛大臣のウソがばれてしまった。音声データは次の通り。

中国側「日本の海上自衛隊116艦、こちらは中国海軍101艦、当編隊は計画通り(空母)艦載機の飛行訓練を実施する」

日本側「中国の101艦、こちらは日本の116艦、貴艦のメッセージを受信した」

小泉防衛相は、この音声データ公表の後「今回の事案において、問題の本質は日本が対領空侵犯措置を適切に行う中、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったことだ」と言い訳し、通報のあるなしは関係ないと言う主張をした。


12月16日、人民網日本語版が次のように伝えた。全文を転載する。

国防部「日本側の責任転嫁は決して成功しない」

人民網日本語版 2025年12月16日11:43

 

国防部(省)の15日の定例記者会見で、蒋斌報道官が日本の「レーダー照射」問題喧伝について質問に答えた。

【記者】報道によると、中国の空母編隊の艦載機飛行訓練に関して、日本側は先ごろ、事前に中国側から通知を受けたが、訓練の時間や区域などの具体的内容を欠いていたため、十分な危険回避情報を得られなかったと主張を変えた。この報道について、コメントは。

【蒋報道官】今回の件については、事実関係が明白で確たる証拠もあり、日本側が詭弁を弄して言い逃れることは許されない。実際の経過は以下の通りだ。12月6日、「遼寧」空母編隊が101艦を通じて艦載機飛行訓練を実施する旨を通知し、日本の116艦はこれを受信したと回答した。その後、中国の101艦は、艦載機飛行訓練を15時に開始し、約6時間継続すること、主に空母の南側の区域であることを再度通知し、日本の116艦はこれについても受信したと回答した。この状況でもなお、日本側は航空機を出動させ、中国側の訓練海空域に繰り返し強行侵入し、妨害行為をはたらき、飛行の安全を脅かした。その全ての責任は、当然日本側が負うべきである。

日本は何度も自国民を欺き、国際社会をミスリードし、中国側の正常な軍事訓練をいわゆる「安全保障上の脅威」と騒ぎ立て、自身が挑発者であるのに被害者を装っている。これでは、高市首相の台湾関連の誤った発言がもたらした深刻な結果から視線をそらさせようとしているのではないか、戦後体制の打破や軍事的制約の緩和、軍国主義の復活のために口実を作ろうとしているのではないかと疑わざるを得ない。我々は日本側に対し、現在の中日関係が困難に直面している根本的原因を正視し、過ちをしっかりと反省して正すよう強く促す。問題の本質を避けて空虚な論を成し、論点をすり替え、責任を転嫁するいかなる行為、政治工作も、その目的を達することはできない。(編集NA)

「人民網日本語版」2025年12月16日  (転載ここまで)

中国は訓練の時間も場所も事前に通報していたのだ。しかも訓練場所は「遼寧」の南側、日本の領空を侵犯することはないと通報しているのだ。自衛隊機も訓練を少し見ていればこれがウソではないことが判断できたはずだ。

捜索用レーダー照射か?
それとも火器管制レーダー照射か?

さて、今回の中国軍機から照射されたレーダーが捜索用のレーダー照射だったのかそれとも火器管制レーダー照射だったのかという重要な問題がある。

海上衝突回避規範(CUES)では火器管制レーダー照射、レーザー照射、武器の照準行為は挑発的で危険とされ、明確に禁止されている。これについて小泉防衛大臣は「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為」と表現し、火器管制レーダー照射とは明言していない。また、自衛隊トップの内倉統合幕僚長は記者会見で「(火器管制レーダーなのか捜索用レーダーなのか)私どもの手の内が明らかになるため、明らかにすることはできません。」と応答している。中国外務省は「飛行訓練中に捜索レーダーを起動するのは各国の通常のやり方で、飛行安全を確保するための正常な操作だ」と説明している。日本政府は火器管制レーダーとは明言せず、中国政府は「捜索レーダー」と言っている。日本政府と中国政府の発表に矛盾はない。

にもかかわらず、日本の大手メディアは「防衛省幹部」などという匿名の「情報源」を根拠に「火器管制レーダーを照射した」としか受け取れない報道に終始している。悪質なのは「自衛隊ナビ」というサイトで、火器管制レーダーと断定している。「自衛隊ナビ」というサイトは自衛隊員の婚活や再就職などを支援しているので防衛省が運営していると思ってしまうが、防衛省ではなく民間ということで、責任者の所在はネット上では不明である。防衛省は意図的にこうしたウソ情報を垂れ流す機関を容認しているのだろう。そうでないのであれば、当然取り締まるべきだ。

過去のレーダー照射事案における防衛省の対応と今回の対応を比較してみよう。

2013年2月、防衛省は、「東シナ海」(東中国海)において中国軍のフリゲート艦から自衛隊の護衛艦が「火器管制レーダーの照射を受けた」と発表。(中国は当初は否定、その後レーダーの使用は認めたが捜索用レーダーと主張)この時、防衛省はレーダーの波形などの証拠は開示していない。

2018年12月20日、能登半島沖の日本海において韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」が海上自衛隊のP-1哨戒機に対し、火器管制レーダーを照射したとされる事件では、日本政府は動画、およびレーダーの波形や音声データを公表している。(ただし韓国側の主張は日本側とは真っ向から対立している。)公開されている動画や音声データ、韓国側の主張などの詳細は下記URLをクリックしてご覧下さい

⇒ 韓国海軍、自衛隊機に火器管制レーダー照射2018/12/20

今回を含めて3つの事例を比較すると、日本側の対応には一貫性がない。内倉統合幕僚長は「手の内が明らかになるため、明らかにすることはできません。」と言っているが、韓国の時はすでに情報を開示している。すでに「手の内を見せている」のに何で今回は見せないのか?中国に対して強く抗議するのであれば、データを公開した上で「見てください、これは明らかに火器管制レーダーの波形でしょ。こういうことは二度としないでください。」といえばよい。「韓国海軍レーダー照射問題」にある動画を見てもわかるが、二つのレーダーの違いはさほど高度な技術がなくても峻別できるのではないか?機内に警報機が鳴り響くとパイロットが「FC(火器管制)レーダーらしき電波探知」と言っている。「手の内を見せる見せない」の技術レベルの問題ではないのではないか。

それともう一つ疑問点がある。小泉防衛相は「断続的なレーダー照射」と言う言葉を繰り返している。二つのレーダー照射の特徴は、火器管制レーダーは一点集中の「持続的安定的」な照射で、捜索用レーダーは広範囲に「断続的」な照射ということだ。小泉防衛相は「断続的な照射」と言っていることから、自衛隊機が受けたのは「捜索用レーダー」ではないのか?長時間にわたって受けたのは回避行動をとらず、中国軍機の訓練の周辺をウロウロしていたということではないのか?海上衝突回避規範(CUES)によれば、火器管制レーダー照射を受けた場合は、自艦・自機の安全のために速やかに回避行動を取る(進路と速度を大きく変えること)とされている。30分もレーダー照射を受け続けたというのであれば、回避行動をとらなかったということだ。それは火器管制照射ではなかった、あるいは危険な照射とは考えなかったからではないのか?それとも命がけで中国軍を挑発していたのだろうか?

今回の事件で最も危険なのは、メディアが「中国=敵」という前提で報道していることだ。政府はまた、そういう報道を引き出すような情報を流している。

日本政府、防衛省はすべての情報(レーダーの波形など)を開示し、白黒を明確にするべきだ。中国側にも言い分はあるだろう。もし中国が火器管制レーダーを照射していたのなら、なぜ照射したのか?理由は何か?議論を重ねればよい。その方が平和的な関係を再構築するのに役に立つ。



情報を隠したまま、一般人の疑念を増幅させて中国を敵に仕立てあげる方法こそ、最も危険で悪辣、戦争を呼び込む策動である。(山橋宏和)

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日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№31

 高市の妄言=「存立危機事態・集団的自衛権行使」発言が、いわゆる“失言”でも“偶発的”なものでないことは、今さら言うまでもないことでしょう。この「妄言」と相まって押し進められている「防衛予算」の大幅増額(対GDP2% ~3.5%)や、いわゆる「安保関連3文書」の改訂、そして長年日本の“国是?”でもあった「非核三原則」の改訂目論み・・・等を見れば明らかでしょう。

 今回はこの妄言と一連の“兆候”に対し、中国側がどう見て、どう感じているのか、いわゆる「ネット上の書き込み」を含めて、少し紹介したいと思います。それらは日本のマスコミ等が報じている以上に深刻かつ“危機的”なものです。それは日本の「国家像」そのもののに対する“再定義”と言っても過言ではありません。もはやこの「妄言の撤回」だけでは済まないものになりつつあるように感じます。

 中国はこれまで国と国の関係においては、「永遠の友はなく、永遠の敵もない」と言う立場をとってきました。一時的な「敵対行為(*無論その“逆”も)」も、政権の交代や情勢の変化によって“逆転”し得るというものです。それ故に敵対する相手に対しても“崖っぷちまで追い詰めない”ことを基本としています。

 かつての印度との国境紛争や、南中国海で繰り返されるフイリッピンによる挑発行動に対する中国の抑制的な対応はそれを体現しています。このスタンスは、中国にとって「主敵?」であるアメリカに対しても同様です。

 ところが、今回の高市の妄言を“きっかけ”に、中国の世論は言うに及ばず、政府の姿勢でさえ、日本に対してだけは“例外”=「例外論」が主流になりつつあるように感じます。

 その当否はともかく、特に民間においても、これまでの「悪いのは軍国主義で、日本人民も侵略戦争の被害者」とする立場や、「徳を以て怨みに報いる」と言った対日基本姿勢に対する「疑念」が生じ、もはや大勢を占めはじめているように感じられます。日本の「軍国主義的野心」は、「敗戦」を経て、一次的に“潜伏”していたが、その本質は一貫して不変で、「機」を見ていつでも復活すると考えるようになっています。

 「高市極右政権」に対する支持率が75%に上るという現実を見れば、残念ながら中国民衆の危惧も決して“的外れ”とは思えないものがあります。

 その根拠を幾つも挙げることができます。

1、日本の戦後体制(政界、財界など)の人脈が「戦前」をほぼそのまま継承してきた

2、「敗戦」を認めない。「“終”戦」という呼称や、精々が「アメリカに負けたのであって、中国に負けたわけではない・・・ウンヌン」とする社会的な普遍認識

3、アメリカによる「原爆投下」や、ソ連による“懲罰的”意味あいがある「シベリア抑留」など、こうした“被害?”に恐怖心が根付いているのに対し、「寛大政策」を行った中国に対しては、中国の“無力”と“弱腰”として潜在的に解釈されている

4、長年にわたる加害史実に対する矮小化と隠蔽が図られ、特に若い世代において歴史に対する抜き差しならない「無知」と「無感覚」が主流となっている

5、特に近年のマスコミによる「反中嫌中」によって、中国の劇的な発展を知らず、対中認識が今だ「20年前の中国」に止まっている(*同時に自身への過大評価=「日本スゴイ!」報道の蔓延・・・)

6、そして、何よりも「侵略戦争の敗北」によっても、「戦勝国」である被侵略国の戦中、戦後を通じての被害の大きさに比べて、「敗戦国」である「日本本土」における被害が相対的に微小であったこと。それによる「戦争(*その残虐性)」に対するリアリティの決定的な欠如・・・・等々が挙げられます。

 かつて、いわゆる「太平洋戦争」勃発において、政権や軍部の中に一部あった、膨大な製造業をはじめ、強大な国力を有するアメリカに対し開戦することへの危惧や躊躇が、“好戦的”な「民衆」の熱狂に追い立てられ、遂に“絶望的”な開戦に至った歴史が再演されようとしています。

 “大国=清朝(中国)”や“強国=ロシア”を打ち負かし、アメリカの実相を知らされることのない民衆の熱狂と、今日の世界情勢や強大な発展を遂げた「中国」の現状に対し盲目的なまま、再び“暴発”する危険性は今日の社会状況とほとんど変わりはありません。因みに、開戦前後の東條英機に対する支持率は80%であったと言われています。

 「失落の30年」に象徴される日本経済の“不可逆的衰退”と未来に対する“希望の欠如”が「戦前」と同じく、“一か八か”の絶望的な「侵略戦争」が唯一の“希望”として日本(官民)を駆り立てているように思えます。

 「日中友好」はこの巨大な“濁流”の中にあって、「反侵略と平和」を希求する日中民衆にとって、かけがえのない礎です。「戦争の残酷さ、悲惨さ」を誰よりも知り、「平和環境での発展」を必要とする中国です。それ故に、中国はこれまで以上に「戦争回避」の努力を続けることでしょう。しかし、高市による“宣戦布告”に等しい「妄言」と、日本の際限のない「戦争準備態勢」を目の当たりにして、中国(台湾を含む)のこれまでかなり理知的な主張をしてきたネット上の論評でさえ、「この際、日本には“旧債”と“新債”をまとめて払ってもらう」と言うものから「この一戦は不可避」・・・と言った少々“過激な?”主張がかなりの勢いで拡大しはじめています。最後の“糸”さえ既に切れかかっているという危機的な状況を私たちははっきりと認識する必要があるでしょう。残された時間はおそらく私たちが想像している以上に「短い」のかも知れません。       

(2025/12/15  墨面記)

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日中両国の当局および国民への呼びかけ

福井県立大学名誉教授
全日本華僑華人中国和平統一促進会名誉顧問 凌星光

11月29日、私は高市早苗総理に宛てた公開状を日中両国語で発表し、幅広い専門家や有識者から多くの賛同をいただいた。まずは、このご支持に深く感謝申し上げたい。
 当面の緊張した日中関係の改善のために、この一週間の情勢変化も踏まえ、公開状では十分語れなかった私見を、ここでより丁寧に述べたい。友人からは「趣旨には全面的に賛同するが、一般の読者には分かりにくい部分もあるのではないか」との指摘も受けた。本稿は可能な限り分かりやすい説明を心がけたため、やや長文となる点をご容赦いただきたい。

1 高市早苗総理は発言の撤回、または実質的撤回を

 高市総理が11月7日の国会で述べた「台湾有事は存立危機事態になり得る」との発言は、中国側の強い反発を招いた。その後に示された「具体例に触れたことへの反省」は評価されず、12月3日の「日中共同声明の通りで、一切変更はない」との答弁も、前進が期待されたものの受け入れられなかった。
 日中関係を安定させるためには、発言の明確な撤回、あるいは実質的撤回を示すほかにない。実質的撤回とは、総理自らの言葉で「一つの中国」への「理解と尊重」を明確に表明し、加えて「ポツダム宣言の遵守」に言及することである。
 国交正常化交渉時、栗山条約局長が「理解と尊重」を示した際、周恩来総理に拒否された。局長がポケットから取り出した「ポツダム宣言遵守」を加えた文案は受け入れられたという経緯がある。つまり後者が、日本側の曖昧さを断ち切る鍵となったのである。

2 四つの政治文書に立ち返る国際情勢分析

 高市発言に対し、米政府高官は一定の擁護姿勢を見せたが、トランプ大統領は「同盟国の多くも、われわれの友達じゃない」「中国とは大変良好な関係」と答え、逆の立場を示した。高市首相にとっては痛手だ。

更に欧州では、フランス大統領が中国を公式訪問し、来年初めには英独両国の首脳訪中も予定されている。EUは中国重視を強め、ロシアも中国支持を明確にした。その結果、四つの安保理常任理事国はいずれも日本支持を避け、日本は事実上、孤立に近い状況に置かれている。
 厳しいやとりを経て、トランプ政権は対中強硬政策を調整するに至ったが、米中抗争は今後10~20年続く可能性が高い。中国は日中関係改善を足掛かりに米中関係緩和を図るべきであり、日本も四つの政治文書に基づく相互信頼を回復し、国際情勢分析を共有する必要がある。

3 国連憲章の原点への再認識

 戦後秩序と国家主権尊重は国連憲章の核心である。中国は国共合作期に国連創設へ参加し、中国共産党創設者の一人・董必武も創設会議に立ち会った。
 五大国の拒否権は平和維持に寄与した一方、安保理の機能麻痺を引き起こす弊害もあった。米国と旧ソ連(現ロシア)が拒否権を濫用する中、中国は比較的自制し、国際協調を重視してきた。米国が国連軽視を強める中、中国への期待はますます高まっている。
 国連原則に悖ったサンフランシスコ講和条約及びそれによってもたらされた日米安保条約は、一時期日本に有利に働いたが、今日では日中友好の阻害要因となっている。
 中国の対外姿勢は、かつての「韜光養晦」から積極的発言と多極化推進へと転じた。世界は米国一極支配から、米中協調を軸とした多極化時代への転換期にある。日本は対米一辺倒から、対米・対中バランス外交への転換を迫られている。

4 敵国条項論議に終止符を

 敵国条項は既に時代遅れであり、1995年の国連総会決議では中国を含む多数国が削除に賛成した。但し手続きはなされておらず、国際法上は依然として有効である。

21世紀に入り、中国が急速に発展すると、日本は米国の影響も受け、中国を仮想敵国視する傾向を強めた。抑止力強化の主たる対象は中国である。

それに加えて、ドイツやイタリアは戦後完全に脱ファシズム化を達成したが、日本は「脱軍国主義」が不十分なままである。一つは歴史認識問題、特に閣僚の靖国参拝などによる疑念が高まった。もう一つは台湾問題に対する曖昧な態度への不満である。

こうして敵国条項は息を吹き返し、日中間の緊張は極度に高まった。日本の「台湾地位未定論」に対し、中国は「沖縄地位未定論」で応じる構図が生まれている。日中は四つの政治文書に立ち返り、この非生産的論争を早期に終わらせるべきである。

5 台湾と沖縄を平和の拠点に

 台湾と沖縄はともに日本の侵略を受け、現在は米中・日中対立の狭間で戦略的要地となっているため、極めて敏感な地域となっている。
 しかし、運命共同体の視点から見れば、両地はアジア太平洋の中心に位置し、重要な役割を果たし得る宝の地である。歴史の流れは「米国主導の台湾・沖縄」から「中国主導の台湾・沖縄」へと重心が移りつつあり、対立から融和への転換期にある。
 日本には「大日本主義」と石橋湛山の「小日本主義」の議論がある。後者を採れば、中国の運命共同体論と接合し、東アジア共同体への平和的移行が可能だ。尖閣問題の「棚上げ」論も、そのための知恵である。

6 台湾平和統一の必要性と世界的意義

 台湾問題の解決は「中華民族の偉大な復興」の象徴的事業である。米国が統一阻止に動いたことで実現は遅れたが、米国の衰退と中国の発展により、統一の現実性は高まっている。
 統一には「武力解放」と「平和統一」があるが、改革開放以降は平和統一政策が明確に採られており、武力行使の可能性は極めて低い。米日両国の曖昧政策は既に賞味期限切れであり、平和統一は間近に迫っていると見られる。
 台湾版「一国二制度」は、中国本土と世界をつなぐ架け橋を担うことができ、台湾統一は米中・日中関係の最大の対立要因を解消する。アジアと世界は、平和と軍縮の新時代を迎えるだろう。

7 沖縄が担う先導的役割

 沖縄は日本併合、沖縄戦、米軍統治という苦難の歴史を経験し、返還後も日本の辺境として不利益を抱え、米軍基地の7割以上を負担してきた。
 一方、東アジア共同体構想の中では、地理的優位性を発揮し得る。歴史的にも地理的にも中国との関係に強みがあり、米軍統治の経験と基地の存在は対米関係でも独自の重みを持つ。
 見方を変えれば、沖縄は「特別行政区」として日本の「新国際化」を先導し得る。一部に「琉球独立論」もあるが、後ろ向きであり現実的ではない。

8 反覇権条項の普遍的意義

 1971年、鄧小平は国連で反覇権主義を掲げ、中国は覇権サイクルから脱却しようとしてきた。日中平和友好条約第二条はその精神を体現するものである。米国の衰退と国際社会の成熟によって、覇権なき世界秩序は現実味を帯びている。
 中国は先制不使用、非核国への不使用、威嚇目的での不使用という「核三不使用」を掲げ、軍事力を世界平和の盾として位置づけている。これは日本国憲法第9条の精神と一致する。
 中国は軍事力で覇権主義を抑止し、日本は平和憲法で覇権主義を抑止する。日中が協力して世界平和に寄与する――これこそ1972年の国交正常化共同声明および1979年日中平和友好条約の本質であったはずだ。これが実現すれば、中国は日本の国連常任理事国入りを率先して支持するだろう。なぜなら、日本は唯一の特別な意義のある平和憲法国家であるからだ。

9 互いに謙虚に学び合う姿勢を

 日中両国は文明的に最も近い国である。日本は遣隋使・遣唐使を通じて中華文明を吸収し、大和王朝を築き、漢字と仮名を用いた独自の文化を形成した。
 中国は明治維新後と戦後日本の経験を学ぼうとし、多くの留学生が日本を訪れた。孫文、李大釗、周恩来、魯迅など多くの先覚者が日本に留学し、また拠点とした。中国の過去45年間の発展には、日本政府と多くの友人の協力があったことを忘れてはならない。
 両国は謙虚に学び合うことが極めて重要である。この点、中国は毎年数十の日本研修団を派遣し、日本の長所を積極的に学んでいる。一方日本は、中国に学ぶ姿勢で欧米に遅れをとっている。
 しかし12月2日付日本経済新聞が英『エコノミスト』誌の「中国の技術革新に学べ」を転載したことは注目すべき変化だ。双方が相互に学び合う環境が整い、現在の緊張関係が改善されることを期待したい。

10 「民で官を促す」「経で政を促す」の原則を遵守

 国交正常化前、民間交流が先行して両国の風通しが良くなった。また友好貿易が始まり、経済交流が政治対話を後押しした。そこから「民で官を促す」「経で政を促す」という原則が生まれ、国交正常化に大きく寄与した。
 その後、政府と民間の相互促進のメカニズムが形成され、改革開放後にはさらに成熟した。政府間が困難に直面するたび、民間交流や経済交流が関係を突破してきた。
 ところが近年、民間・経済交流を政治的圧力の手段に利用する傾向が見られる。これは明らかな誤りであり、是正されるべきである。政治的挑発には相応の対抗措置があってよいが、民間や経済にまで影響を及ぼすことは日中友好の基盤を崩してしまう。

結語

 以上の諸点を踏まえ、高市総理が一日も早く7日の発言を撤回、または実質的撤回を行い、日中関係の正常化と日中友好関係の新たな発展が実現することを強く願う。
 平和と共存、そして繁栄の未来は、必ずや両国に開かれると信じている。

2025年12月7日

 

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高市首相の「台湾有事は存立危機事態」発言の撤回を求める緊急記者会見

村山首相談話を継承し発展させる会


12/8、“村山首相談話を継承し発展させる会”による「高市首相の『台湾有事は存立危機事態』発言の撤回を求める緊急記者会見」が開催された。前日に開催された“国際アジア共同体学会”でご一緒した日中労働者交流協会会長の伊藤彰信さんより緊急記者会見の資料をお送り頂いた。緊急記者会見のYouTube動画とあわせてご覧ください。

(伊関)


クリックしてご覧ください。↓

 

高市首相の「台湾有事は存立危機事態」発言の撤回を求める

緊急記者会見 次第

2025年12月8日

主催 村山首相談話を継承し発展させる会

1.「緊急声明」について
 藤田高景(村山首相談話の会・理事長)

2.呼びかけ人からの発言(御出席の学者・文化人・弁護士)
 田中宏(一橋大学名誉教授)
 東郷和彦(元外務省条約局長)
 羽場久美子(青山学院大学名誉教授)
 権上康一(政治経済学者)
 岡本厚(雑誌『世界』元編集長)
 竹信三恵子(和光大学名誉教授・ジャーナリスト)
 杉浦ひとみ(弁護士)
 足立昌勝(関東学院大学名誉教授)
 前田朗(東京造形大学名誉教授)
 川村範行(名古屋外国語大学名誉教授、日中関係研究所代表)
 栗松聡子(ピースフィロソフィーセンター代表)
 伊藤真信(日中労働者交流協会会長)

●呼びかけ人(本日は所用にて欠席)
 田中優子(元法政大学総長)
 前田哲男(軍事評論家)
 古賀茂明(政治経済評論家、元経済産業省官僚)
 高山佳奈子(京都大学教授)
 山田朗(明治大学教授)
 金平茂紀(ジャーナリスト)
 纐纈厚(山口大学名誉教授)
 井原誠(東北大学名誉教授)
 飯島滋明(憲法学者、名古屋学院大学教授)

3.質疑応答

以上

2025年12月8日

記者会見メモ



伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)

1 日中労働者交流協会(略称:日中労交)は、初代会長である市川誠(元総評議長)が侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の開館式に出席するにあたって表明した「日中不再戦の誓い」の精神を継承し、現在は「和解から友好へ」をスローガンに日中平和友好活動をしています。日中共同声明が国家間の政治的・外交的和解とするならば、民間交流による相互理解を通して和解を促進し、民を以て官を促したいと思っています。

誓 い

われわれは、1931年および1937年を契機とする日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止し得なかったことを深く反省し、南京大虐殺の犠牲者に対して心から謝罪するとともに、哀悼の意を表し、ご冥福を祈ります。

われわれは、日中不再戦、反覇権の決意を堅持し、子々孫々、世々代々にわたる両国労働者階級の友好発展を強化し、アジアと世界の平和を確立するため、団結して奮闘することをあらたに誓います。

公元1985年8月15日

抗日戦争及びファッショ戦争勝利40周年記念日

2 今回の高市首相の「台湾有事は日本の存立危機事態である」という発言は、中華人民共和国の領土の不可分の一部である台湾において日本が軍事行動を行うという宣戦布告の予告にほかなりません。「相互不可侵」、「内政に対する相互不干渉」などの平和五原則の基礎の上に「両国間の恒久的な平和友好関係を発展させ」、「相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない」とした日中平和友好条約第1条に反するものであり、日中共同声明、二度と戦争をしないと誓った日本国憲法に反するものであり、断じて許すことは出来ません。発言の撤回を強く求めます。しかし、高市首相は「従来からの政府見解を変えるものではない」と述べており、発言を撤回するだけでは収まらない大きな問題があると思います。

3 私が2015年12月に訪中したとき「安保法制の成立を阻止することができませんでしたが、日本国憲法第9条が改正されないよう頑張ります」と述べたら、「日本は日本国憲法第9条を改正しなくても戦争ができる国になったのではないですか」と言われました。

4 今回、中国政府は国連憲章第53条の「敵国条項」を指摘しています。日本国憲法第9条第1項は、国連憲章第2条第4項の「武力による威嚇又は武力の行使を(中略)慎まなければならない」を引用したものであり、「慎む」よりも踏み込んで「永久にこれを放棄」したわけです。第9条第2項は、国連憲章第53条を態度で示すために、戦力の不保持、国の交戦権の否定を謳ったわけです。日本は、日本軍国主義の中国侵略戦争の反省を、国連憲章よりもさらに平和主義に踏み込んだ日本国憲法を制定することによって、平和国家への道を歩んできました。

5 「抑止力による平和」という考え方は誤りです。「抑止力」とは「武力による威嚇」にほかならず、留まることなくエスカレートするものです。武力で平和は創れません。日本国憲法にも国連憲章にも反する考え方です。

6 私は、「台湾有事」での日本の軍事介入のシナリオは、一般的にいわれている「米中戦争巻き込まれ論」ではなく、「自衛隊仕掛け論」ではないかと考えています。「中国が攻めてきた」と言って、武力攻撃事態による反撃を行うのです。1931年の柳条湖事件、1937年の盧溝橋事件も日本軍国主義が仕掛けたものでした。

7 日本は戦争への道を歩んでいます。以前「政冷経熱」という言葉がありましたが、今は「経済安全保障」が語られる時代です。軍官民一体の体制がつくられようとしています。「中国の脅威」を煽ることによって、「戦う決意」を持たせようとしています。マスコミ、教育がその先陣を担っているわけです。九州に長射程ミサイルの先行配備、南西諸島のミサイル基地化、民間港湾・空港の軍事利用、防衛産業強化がすすめられています。防衛関連産業で働く労働者の賃金は大幅に引上げられました。今、日本の労働組合は「産業報国会」化しています。単に意識のレベルだけではなく、社会経済を含めた総力戦を戦う体制が出来上がろうとしています。まさに「戦争前夜」です。自国の首相が「戦争をするぞ」と言っているわけですから、主権者たる日本国民は、「戦争をするな」、「高市首相発言を撤回しろ」の声をあげるべきだと思います。

以上

*このメモは、日中労働者交流協会の組織的な声明ではなく、私の個人的な意見です。


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高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会

2025年12月2日、参議院議員会館で「高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会」が開催された。孫崎享氏の基調講演に続き、各界や会場からの発言があった。「日本国民メディア そして国会議員の多くが事態の深刻さを理解していない!!」とのただならぬ危険の気配、緊迫感が伝わってくる集会の様子を、 IWJのYouTube動画よりご覧ください。(伊関)

前編:クリックしてご覧ください。↓

 

後編:クリックしてご覧ください。↓

 

 

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覆水(ふくすい)、盆(ぼん)に返らず

一度こぼした水は、もうコップにもどすことはできない。

 高市首相は11月7日、台湾有事で軍艦を出せば存立危機事態になりうる」と発言し、日中関係が危機的な事態になっている。日本が中国と約束した日中共同声明などの外交文書でも「台湾は中華人民共和国の不可分の一部」と明記しており、日本が台湾問題に口をはさむこと自体が内政干渉だ。

 しかも、「存立危機事態になりうる」というのは、そこに自衛隊が武力介入する可能性を明言したもので、これは「侵略するぞ」という脅しだ。中国が怒るのは当たり前である。

 今の若い人はあまり知らないかもしれないが、日本は1894年~95年の日清戦争で中国から台湾島を奪い取り、50年にわたって植民地支配した。1945年に日本は侵略戦争に敗け、台湾島を中国に返還した。

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高市「存立危機事態」発言に、どう反対するか

高井弘之さんの論考【高市「存立危機事態」発言に、どう反対するか】を掲載します。(掲載:伊関)

愛媛の高井です。

「高市発言」問題についての拙稿を送らせていただきます。

時間のあるときにご一読していただければ幸いです。

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高市「存立危機事態」発言に、どう反対するか(その1)

【高市発言の前提にある「対中戦争態勢」そのものを問わなければならない】

 連日、いわゆる「台湾有事」についての「高市発言」をめぐる報道が繰り広げられている。

 しかし、不思議なのは、私が知る範囲では、報道は、その発言自体の問題に焦点をあてるのみで、実際に構築されている日米の「対中戦争態勢」の現実・実態との関係であの発言の意味を捉えようとはしないのである。

「台湾有事が存立危機事態になりうる」、つまりは、中国が台湾の武力統一行動に出た場合、軍事力を行使してそれを妨害する―― 中国に戦争を仕掛けるという高市の発言が酷いものであるのは確か だが、それは、言葉だけのものではない。現実に、日米は、 この数年間、そのとき「中国に戦争を仕掛ける」 共同の実戦訓練を繰り返し行い、その規模と実戦レベルを拡大・ 強化し続けているではないか。

「台湾有事」における『日米共同作戦計画』の存在

 その「日米共同作戦計画」は、2021年の暮れに共同通信の石井記者がスクープ記事を配信し、全国の地方紙で報道されて明らかになって以来、その「計画」の存在は公然の事実である。そしてそれが、奄美・沖縄の人びとの犠牲を当然の前提として作られている「作戦」であることも、すでにその報道で明らかにされ、実際にその前提に立った訓練が、いま、沖縄・奄美を中心にこの列島全体で頻繁に繰り返されている。

「中国の統一問題(両岸問題)への軍事介入計画」をこそ止めさせなければならない!

 したがって、仮に、高市が発言を撤回しても、この「問題」が解決し、終わるわけではない。 この「作戦計画」を白紙にし、それに基づく軍事訓練を今後一切やらない、そして、中国の統一行動にいっさい軍事介入しないということを、日本政府が中国政府に対して公式に約束しない限り、この問題は解決しないのである。

 政府は、「日本の立場に変わりはない」などという皮相な言葉で解決しようとしているようだが、「中国の統一行動に軍事介入する」という「政府の立場」を変えない限り、この問題の本当の解決はない。私たちは、政府に、これをさせなければならない。

日米らによる「対中軍事包囲網」の構築

 ところで、いま私たちが直面している問題は、「台湾有事」問題だけではない。いま日米NATOら 「西側中心国」は、「没落する自らと台頭する中国(・グローバルサウス)」という現実を前にして、 「中国弱体化戦略」としての「対中軍事包囲網」の構築を急ピッチで進めている。 「対中戦争態勢―中国封じ込め態勢」の構築である。

 数年前から、日米NATO豪らは中国の近くで合同軍事訓練を繰り返し、その規模も頻度も増大し続けている。今年の3月、中谷防衛大臣(当時)は、朝鮮半島・東シナ海・南シナ海を「ワンシアター」(一つの軍事作戦が実行される地域・戦域)と捉えて、日米を中心とする関係国が共同で行動しようという構想を、ヘグセス米国防長官に提起した。まさに、南シナ海を含めた「対中軍事包囲網構築」の提起である。実際に、この海域でも、すでに数年前から日米等の合同軍事演習が行なわれ、2024年からは、米日豪比の形での合同軍事演習が開始されている。

「対中戦争マシーン」と化している日本列島

 沖縄・奄美から始められた「対中戦争態勢」の構築は、いま、九州・西日本から全国へと拡大している。各地に大規模なミサイル弾薬庫が作られ、ミサイル部隊が配置され、中国大陸まで届く長射程ミサイルが全国各地に配備されていく。その最初の配備地である熊本の陸自健軍駐屯地への配備はいま直前の状況である。

 自衛隊の輸送や訓練に民間空港・港湾・道路・民間地まで使われ、いま、この列島は、まさに、「対中戦争マシーン」と化している。そして、自衛隊は、中国に対する自らの攻撃によって――それに対する中国からの反撃によって日本列島が戦場となることを想定し、司令部の地下化を進めている。地上の住民のことなど関係なく、自らは生存して、戦闘を続けるつもりのようである。

 「対中戦争態勢構築」全体を止めさせなければならない

 以上、日米の対中軍事態勢は、まさに、臨戦態勢の域に達している。この「対中戦争態勢」づくりを止めさせない限り、ここ東アジアに住む私たちの平和・生活・命の保障はない。この態勢づくりの元となっている「安保三文書」を撤回させ、この「対中戦争態勢」全体を批判し、その構築を直ちに止めさせなければならない。

「高市発言」を機に、私たちは、その発言を撤回させるだけでなく、この「対中戦争態勢構築」全体を撤回―白紙化させることにこそ、取り組まなければならないと思う。

 

高市「存立危機事態」発言に、どう反対するか(その2)

【「日本に奪われた台湾を回復しようとすること」を許さない元宗主国・日本】

 日本政府・社会・メディアでは、「高市発言」への中国の反応を理不尽な過剰反応だとする認識が大勢を占めているようだ。このままでは、現在の大軍拡―「対中軍事態勢の構築」の推進力たる「反中国感情/中国脅威論」はますます高まっていくだろう。

 いま私たち日本の市民・国民に必要なのは、「中国にとっての台湾」は、日本との関係において、歴史的に、また現在的に、どのようなものとして在り続けているかを知ることだと思う。「台湾統一」の問題(両岸問題)について現段階で考えるには、すでに政治構成体―政治的実体として存在している台湾(政府・人びとの主体的意思)と中国の統一政策との関係等々についての考察も必要である。ただ、ここでは、「高市発言」をめぐる状況に向き合うにあたって必要な、日本との関係における「中国にとっての台湾」の意味するものに焦点をあてて考えてみたい。

 「高市発言」は、仮に中国政府が台湾を武力統一しようとする行動に乗り出した場合〔注〕、日本はそれを阻止するために軍事力を行使するという意味である。このことは中国にとって何を意味するのだろうか。

中国から台湾を奪った日本

 周知のように台湾は、日本が行なった日清戦争(中国侵略戦争・朝鮮植民地化戦争/1894~95年)後の講和条約によって日本が中国に割譲させ、その後の「台湾征服戦争」によって完全に植民地にしたところである。つまり、日本が中国から奪ったところである。

「台湾統一」とは、中国にとって、日本に奪われ、日本の敗戦後も米国の妨害によって分離・分断状態であり続けた(経緯は後述)その台湾を取り戻す――「回復」する行為である。

台湾は元宗主国・日本が属する「西側」のものである

 高市が言い、実際にいま日米が準備している行動とは、かつて帝国主義列強の一国・日本に侵略・支配された国が、その日本に奪われた地域・台湾を回復しようとする行為を、日本は決して許さないというものである。台湾のかつての宗主国・日本が軍事力を使ってでもそれを妨害し、「西側・帝国主義」勢力圏にそのまま留め置こうとする行為である。



 台湾のために――台湾の人びとや民主主義・「独立」を中国から守るために、行なおうとしているものなどではない。

1949年の中華人民共和国建国以降、ずっと台湾は、沖縄とともに、中国への攻撃および「中国に対する軍事封じ込め」の拠点であった。日米らが「対中軍事包囲網」を構築しようとしているいま、その要に位置する台湾は、これまでにも増して、日米・西側のためにこそ必要なのである。日米・西側にとっての台湾とは、いわば、帝国主義的利益と欲望――私利私欲の対象として存在している。

「台湾の植民地支配・中国への侵略」を無視する高市ら日本政府

 ところで、高市首相は、日本が台湾を中国から奪ったこと、その台湾を植民地支配し、中国への侵略戦争を行なったこと、これらについて反省していないどころか、その歴史事実に向き合うことを全くしていない。そして、日本の侵略に対する中国側の寛容な姿勢があって締結し得た日中平和友好条約を全く無視し、それに反した言動を行ない続けている。このような政府・政治家が、かつて日本の植民地であった台湾を自らの下に抱き込み続けようとしているのである。

 高市発言は――いま日本がやろうとしていることは、端的に言えば、以上のことである。中国の政府・人びとに――日本の凄まじい加害・侵略を許して日本との「国交正常化」を決めた中国に、いま目前で展開されている日本の行為・現実は、どのように映るだろうか、それは、いったい、何を意味するだろうか。

 私たちは、他者・他国を踏みにじり続ける近代日本国家の継続として在る、日本政府のこの行為を許してはならない。



※ 以下、長くなりますが、参考までに、上に述べたことの歴史過程について記しておきたいと思います。

[その歴史的経緯]

台湾は、日本が行なった日清戦争(中国侵略戦争・朝鮮植民地化戦争/1894~95年)後の講和条約によって日本が中国に割譲させ、その後の「台湾征服戦争」によって完全に植民地にしたところである。したがって、19世紀半ばから20世紀半ばまでの百年にわたる日欧米・帝国主義列強の侵略―「半植民地」状況を克服して建国した中華人民共和国政府にとって、台湾は、列強に奪われた地の「回復」対象として存在している。

 日欧米諸国によって半植民地状況に置かれていた中国の人びとは、1945年に大日本帝国を追い出し、その後、列強・アメリカの支援を受ける国民党を追いやって(国共内戦)、中国大陸に反帝国主義国家・中華人民共和国を建国する。

 建国の中心となった共産党は、そのとき、大陸での内戦に敗れ台湾へと敗走した国民党を追い、日本に割譲させられた台湾も含めて新しい国家とする予定であり、情勢的には、その実行―実現に時間はかからないと見られていた。しかし、朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)が始まると、アメリカは、台湾海峡に第七艦隊を派遣し、台湾―国民党の防衛姿勢を誇示した。

 その後、米国は、台湾を中国(本土)から切り離して――分離させて、自国陣営の側に置き続ける政策を追求し続けた。台湾を拠点とする国民党―中華民国と軍事同盟(米華相互防衛条約/1954年)を結んで、台湾に米軍基地を置き、国民党を軍事支援し、台湾を「中国封じ込め」の拠点とし続けた。これらの経緯によって、中国は台湾を新国家へと含めること(台湾統一)を実現し得なかった。

台湾が米国にとっての「中国封じ込め」拠点であることは、米中国交正常化後も基本的に変わらず、2010年代後半から始められた「対中対決姿勢―中国弱体化戦略」の下、米国による「台湾の「対中」軍事力」強化が急ピッチで進められており、すでに米軍の軍事顧問団も駐留している。


〔注〕

実際は、台湾の平和統一が中国政府の正式な方針である。「武力行使の権利を放棄することは約束しない」という趣旨の中国要人の発言がよく報道されるが、それは、アメリカが「台湾を中国から切り離す」方向で介入をして来たらその場合は武力行使も辞さないという、アメリカに向けた牽制の言葉である。武力統一の実行は、中国の一党統治体制安定の前提である経済発展に大きな負の影響を与える可能性が大であることなどからも、考え難い。



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高市早苗総理への公開状

高市早苗総理大臣閣下

“台湾有事”に関し集団的自衛権行使の「存立危機事態」になり得るとした貴殿の国会発言が、日中関係に深刻な影響を及ぼしています。中国政府は「核心利益の核心」である台湾問題への内政干渉であり「一つの中国」原則に反するとして発言の撤回を要求していますが、日本政府は従来の見解に変わりはないとして、両国の主張は平行線のままです。

その結果、日中関係は国交正常化前に逆戻りしつつあり、いつ武力衝突が起きてもおかしくない状況にあり、誠に憂慮に耐えません。閣下の発言によって引き起こされた危機的状態を克服するために、発言を撤回又は善処され、中国側の了解を得て、一日も早く日中友好四文書の原則に回帰させるよう切に願う次第です。


ここで以下六つの点を指摘し、閣下の政策決定の参考に資したいと思います。

1、 米中の力関係の変化への新たな認識の必要性

戦後初期、米ソ対立が激化する中、日本は日米安保条約を締結しました。中ソ分裂、中国の挫折など西側に有利な国際情勢の下、日本はその利益を享受し、世界第二の経済大国となりました。しかし、今や中国が台頭し、米国と肩を並べるようになり、日米安保条約による対中抑止力強化は無意味となりつつあります。とりわけ、9月3日に示された中国軍事パレードでの新装備は、世界の軍事専門家の驚異の的となりました。ここ数カ月、米国の対中姿勢には変化が見られ、米中衝突を避ける論調が強まっています。米国の対中緩和姿勢や論調に歯止めをかけるような日本の働きかけは徒労であり止めるべきです。

2、 台湾平和統一の実践への理解

台湾統一は全中国人民の念願であり、「偉大な中華民族の復興」の象徴的事業です。そしてこれを成し遂げて始めて人類運命共同体の実現に邁進することができるようになります。今まで「韬光养晦」の段階でありましたが、今や行動で平和統一を促進する段階に入っています。一般人の命に関わる陸上においては慎重を期していますが、台湾周辺の海や空では、台湾側が一方的に定めた境界線は無視され、大陸の台湾省への統治力が強化されつつあります。大陸・台湾両方の知恵によって、平和統一は着実に進められようとしています。それに対し、日本は干渉したり、邪魔をしたりすべきではありません。

3、 「一つの中国」への明確な態度表明

カイロ宣言、ボツダム宣言、降伏文書、国連2758号決議などによって、一つの中国原則は国際法で決められています。米日で台湾地位未定論が出ていますが、それは全く邪論に過ぎません。また、日本は国交正常化共同声明で台湾は中国の領土であることを「理解し、尊重する」と言っているだけであって、認めているわけではないとの言説も詭弁です。1998年の共同声明では、台湾問題について「改めて中国は一つであるとの認識を表明する」と書いてあります。台湾を巡る中国の対日不信感を拭うためには、より明確な表現で「一つの中国」を認めるべきです。またアジアと世界の平和のために、むしろ台湾の平和統一を促す政策をとることが賢明な策です。

4、 忘れてはならない「敵国条項」の存在

1950年代初めに、全面講和か単独講和かの論争が日本国内で展開されました。中国の存在が無視され、単独講和が結ばれたため、敵国条項が清算されにくくなりました。日中国交正常化が実現し、敵国条項削除の機運が高まり、1995年の総会において削除作業開始の決議はなされました、がそのままになっています。日本の総理大臣や閣僚が戦犯を祀っている靖国神社に参拝するなど歴史認識が問題視され、今に至っても解決される見込みが立っていません。そのため、もし日本の自衛隊が台湾問題に介入するようなことがあれば、中国は国連の決議を経ることなく、枢軸国日本の全土に武力行使を行うことができるのです。また、日本の台湾地位未定論に対して、中国は沖縄(琉球)地位未定論を打ち出そうとしています。日本は実に厄介な一連の問題に直面することになります。

5、 認識すべきは「四文書回帰が唯一の道」

1972年の国交正常化・日中共同声明をはじめとする日中友好四文書によって、日中間に存在する複雑な問題、例えば台湾問題、賠償問題、旧敵国条項、沖縄地位未定論、歴史認識問題など全てが封印され、日中友好関係が大いに進み、両国の平和と発展を見ることができました。ところが四文書を顧みず、中国の台湾統一を妨げようとして自衛隊を出動させるようなことになれば、全てが引っくり返り、日本は完全に孤立した状態に陥ることになりかねません。ドイツとイタリアはファシズムと決別し国際社会の仲間入りを果たしましたが、日本は軍国主義と決別できず、重要な隣国中国の理解を得ることができないでいるからです。

6、 「日中平和友好条約第二条」で世界平和を主導

日本が台湾問題で正しい立場をとり、歴史認識問題にけじめをつければ、日中平和友好条約第二条の反覇権条項に基づいて、中国と共に世界平和を主導することができます。中国の軍事力予算は現在米国の約三分の一ですが、米国を上回る必要はないと言われています。覇権を求めないからです。アメリカは覇権主義を維持できなくなっており、中国と共に覇権なき世界秩序の構築に取り組まざるを得なくなるでしょう。世界に輝く平和憲法の下で、日本は中国と共に世界の軍縮を進めることができ、世界中に展開している米軍基地は国連の管理下に置かれるようになるでしょう。これは米国にとっても大きな利益となるからです。

最後に、以上六つの提案は、必ず日中両国の有識者及び一般の人々から支持を得られると確信しています。閣下から何らかのメッセージが得られれば幸いに存じます。

福井県立大学名誉教授         

全日本華僑華人中国平和統一促進会名誉顧問   凌星光

2025年11月29日

 

高市早苗首相的公开信

高市早苗内阁总理大臣阁下:

关于“台湾有事”可能构成行使集体自卫权之「存立危机事态」的阁下国会发言,已对中日关系造成了严重影响。中国政府认为这是对其“核心利益中的核心”——台湾问题的内政干涉,违反“一中原则”,并要求撤回相关发言。然而,日本政府坚持认为自身立场并无变化,双方主张依旧平行不下。

其结果是,中日关系正倒退至邦交正常化之前的状态,随时都有可能爆发武力冲突,令人深感忧虑。为了克服因阁下发言而引发的危机局势,恳请阁下撤回或妥善处理此番言论,取得中方谅解,使两国尽早回归中日友好四文件的原则。

以下谨提出六点意见,供阁下决策时参考。

一、对美中力量对比变化需有新的认识

战后初期,在美苏对立加剧的背景下,日本缔结了日美安保条约。在中苏分裂、中国遭遇挫折等有利于西方的国际形势下,日本得以享受利益,成为世界第二大经济体。然而如今中国崛起,与美国比肩,日美安保所构筑的对华遏制力正逐渐失去意义。尤其是9月3日中国阅兵中展示的新式装备令全球军事专家震惊。近数月来,美国对华姿态出现变化,避免中美冲突的论调不断增强。日本试图阻止美国对华缓和的努力不过是徒劳,应当停止。

二、理解推动台湾和平统一的实践

台湾统一是全体中国人民的夙愿,是“中华民族伟大复兴”的象征性事业。只有在完成统一之后,才能更好地迈向“人类命运共同体”的实现。过去处于“韬光养晦”阶段,如今已进入以实际行动推动和平统一的阶段。在涉及民众生命安全的陆上问题上保持谨慎,但在台湾周边的海空领域,对台湾方面单方面划定的界线不予承认,并不断强化大陆对台湾省的治理力。在大陆与台湾双方智慧推动下,和平统一正在稳步前进。对此,日本不应干涉,更不应阻挠。

三、明确表明对“一中原则”的态度

开罗宣言、波茨坦宣言、投降文书以及联合国2758号决议等均确立了一个中国原则。日美方面提出“台湾地位未定论”,纯属谬论。日本国内亦有人声称,邦交正常化联合声明中所谓“理解并尊重”台湾属于中国的表述并非“承认”,此乃诡辩。1998年联合声明中明确写道:就台湾问题“再次表明一个中国的认识。”要消除中国在台湾问题上的对日不信任,日本应以更明确的用语承认“一个中国”。而且,为了亚洲及世界和平,日本反而应采取促成台湾和平统一的政策。

四、不可忘记“敌国条款”的存在

20世纪50年代初,日本国内曾就“全面讲和”与“单独讲和”展开激烈争论。由于无视中国而选择了“单独讲和”,使得敌国条款难以清算。中日邦交正常化后,曾出现推动删除敌国条款的势头,在1995年联大亦通过开始删除程序的决议,但至今仍未完成。加之日本首相和阁僚参拜供奉战犯的靖国神社等历史认知问题备受批评,至今无解决迹象。因此,一旦日本自卫队介入台湾问题,中国便可不经联合国决议,在前轴心国日本全境行使武力。此外,针对日本主张的“台湾地位未定论”,中国亦可能提出“冲绳(琉球)地位未定论”。日本将面临一系列极为棘手的问题。

五、应认识到“回归四文件是唯一的出路”

1972年邦交正常化的中日联合声明等四份中日友好文件,将双方间的复杂问题,如台湾、赔偿、旧敌国条款、冲绳地位未定论、历史认识等全部予以封印,使得中日友好大步前进,两国和平与发展得以实现。然而若无视四文件,甚至试图以自卫队阻挠中国的统一进程,一切将被彻底推翻,日本恐将陷入完全孤立的境地。德国与意大利已与法西斯主义决裂,重新加入国际社会;但日本仍无法与军国主义彻底切割,因而无法获得重要邻国中国的谅解。

六、以《中日和平友好条约》第二条为基础共同引领世界和平

若日本在台湾问题上采取正确立场,并在历史认知方面做出清晰了断,便可依据《中日和平友好条约》第二条的反霸权条款,与中国共同引领世界和平。中国目前的国防预算约为美国的三分之一,但中国并无超过美国的必要,因为其不寻求霸权。美国已难以维持霸权主义,不得不与中国一道致力于构建非霸权的世界秩序。在闪耀世界的日本和平宪法下,日本将能与中国共同推进世界裁军,遍布全球的美军基地也将逐渐转入联合国管理之下。这对美国来说亦是重大利益。

最后,本人相信以上六项建议将获得两国有识之士与普通民众的支持。若能收到阁下的任何回应,不胜欣慰。

日本福井县立大学名誉教授
全日本华侨华人中国和平统一促进会名誉顾问 凌星光

2025年11月29日

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異なる視点論点㉓(2025年11月20日){国際アジア共同体学会HPより}“転載:伊関”

高市首相の台湾発言はなぜ大事(おおごと) になったか
――2012年の「国有化」悪夢

朱 建栄 東洋学園大学客員教授

高市首相の台湾発言はなぜおおごとになったかpdf

 ↑ ↑クリックしてご覧ください。↑
(本文中の写真、動画、資料等は、上記URLをクリックしてご覧ください。伊関)

 この夏は暑かった。「錦秋」を楽しむ間もなく、冬に突進した。日中関係も、10 月 30 日の首脳会談の「錦秋」がつかの間、大吹雪を迎えている。

 ちょうど米中首脳釜山会談と「貿易休戦」、四中全会について参考消息を編集しよ うと思ったところ、高市首相の台湾有事発言をきっかけとした一連の急展開で驚いた。 横から、この大事(おおごと)に対する日本社会の鈍感、焦点・本質から外れた騒ぎを 見て、2010 年の「漁船衝突事件」、12 年の「国有化」をめぐる双方の思い違い、すれ 違った対応で正面衝突に至ったことがすぐ連想された。このままでいくと、「二の舞」 が必至だ。80 年前どころか、十数年前の「歴史の教訓」すら学ばれていないことを悲 しく思う。そこで、この号は高市発言問題を取り上げることに急遽切り替え、その経緯 を再整理し、行方も展望することにした。


一 中国側の「全面反撃」に至った経緯

 日本の複数の友人から、「なぜ中国はこんなに怒っているか分からない」と言 われた。

  事の発端は11月7日の衆院予算委員会での質問に対し、高市首相は、「戦艦 を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態に なりうるケースだ」と答弁したことだ。

 この高市氏の発言に、中国外交部は直ちに批判し、薛剣・駐大阪総領事は翌8 日にXで、「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬って やるしかない。覚悟ができているのか」とコメントした。木原稔官房長官は 10 日の記者会見で、薛氏の発言の趣旨は「明確ではない」ものの、「極めて不適切」 だと述べた。

 しかし高市氏は10日、特定のシナリオについてコメントすることは今後は慎 むとしながらも、発言の撤回を拒否した。薛氏のX投稿はこの時点から、「高市 首相の首を切る」との解釈に「定着」し、主要メディアも一斉に批判を展開した。 11 日、自民党の外交部会らが「国外退去含め対応を」と政府に申し入れた。

  中国という巨艦は発動が遅いが、エンジンがかかると止まらない勢いで動き 出す。どうも13日が転換点で、以後、中国外交部、国防部などは一斉に高市発言に集中砲火を浴びせ、一連の牽制・圧力措置を公表し、「全面反撃」に出た。 外務省アジア太平洋局長が北京に赴いて交渉しても成果はなく、外交部の劉局 1 長がポケットに手を入れたままの物別れの写真だけが残った。薛氏 X 投稿と劉 局長のポーズという具体的場面に関する話は本文の後半に残すことにし、まず 問題の発端に対する中国の反発の原因、理由を検証する。

 中国の怒りについてBBC Newsはこう解説した。

【解説】 高市首相の台湾をめぐる発言、なぜ中国を怒らせたのか - BBCニュ ース51112  

 日中両国の間には長年、敵意が存在している。(中略)第2次世界大戦における日本による中国での残忍な軍事行動にさかのぼる。

 保守派の高市氏は、アメリカとの関係強化を目指しており、日本の防衛費を増やす考えを明らかにしている。中国政府はこれに警戒している。

 高市氏の最近の発言は、台湾に関して日本が従来から取ってきた不明確な立場から の脱却を意味する。(中国外務省は)「日本の指導者は『台湾独立』分離主義勢力にどんなシグナルを送ろうとしているのか」、「日本は中国の核心的利益に挑戦し、統一を 阻止しようとしているのか」と問うた。

 ここでは⑴かつての戦争に由来した記憶と双方の「敵意」、⑵従来な立場を逸 した高市発言が、台湾分離独立勢力にエールを送り、中国の核心利益に挑戦した と受け止められた、という二つの理由を挙げた。

二 反発理由①:中国内政への軍事介入

中国側の一連の公式発言や重要論評から見て、強烈な反発に至った理由は三 つ整理することができる。

 第一、すでに伝えられるように、台湾問題に軍事介入の可能性を初めて暗示 し、中国側を脅したと理解される日本政府責任者の国会発言を「日中間の合意、 約束に対する重大な違反・挑戦」と見なし、絶対容認しないことだ。安倍氏は退任後、「台湾有事は日本有事」と話し、厳しく批判されたが、今度は現役首相がより一歩踏み込んだ発言を国会という最重要な場で行った。

 これについて中国外交部報道官は13日、次のように表明した。

① 2025年11月13日外交部发言人林剑主持例行记者会_

 高市首相は国会で台湾について露骨な挑発発言を行い、台湾海峡への軍事介入の可能性を示唆した。(中略)「一つの中国」原則、四つの政治文書の精神に重大に違反し、 深刻な内政干渉、中国の核心的利益への挑戦、中国の主権を侵害するものだ。(問題の深刻さを指摘) かつて台湾を植民地支配した日本軍国主義は、いわゆる「存亡の危機」を口実に繰 返し対外侵略を行ってきた。「自衛権の行使」を口実とした「9・18(満州)事件」 は、中国への侵略戦争を誘発した。今回の「存立危機」言及は、軍国主義の過ちを繰 り返し、再び中国人民とアジア人民の敵になろうとしているのか。(歴史的影)

 台湾は中国の台湾だ。日本当局による台湾海峡問題への軍事介入は侵略行為に当たり、必ず「迎頭(頭に向かって)痛撃」し、国連憲章と国際法に基づく自衛権を行使する。(対抗姿勢の表明)

外交部、国防部などの発言はほぼこの趣旨であり、呉江浩大使も「指示を受け て」日本外務省に厳正な申し入れをした。

② 呉江浩駐日大使は高市早苗首相の誤った言動について厳正に申し入れ、強 烈に抗議_中華人民共和国駐日本国大使館251117

この中で印象に残った表現:

 中国側のレッドラインを越え、武力による威嚇を行い、戦争を搔き立てた。 日本の為政者が台湾海峡情勢への武力介入を叫ぶことは、中国側の核心的利益への 露骨な挑戦であり、自ら進んで「中国分裂」という戦車に身を縛りつけるものであり、 日本自身を破滅への道へと導くことになる。 もし日本が敢えて台湾海峡情勢に武力介入する暴挙に出るならば、それは侵略行為となり、中国は必ず正面から痛撃を加える。

三 反発理由②:「台独」勢力への唆し

 高市発言を強く批判した第二の理由はあまり触れられていないが、「どんなケ ースでも統一を阻止し、台湾の分離独立勢力を擁護、支持する下心が露呈した」 と理解されたことだ。

 中国は「最大限に平和統一を求める」と常に表明しており、トランプ大統領は 11月2日、9月に続いて改めて、CBSテレビのインタビューで中国による台湾武力行使の可能性について「習近平主席や彼の周辺は"私の在任中には何もしな い"と言っている」と話し、先週の米中首脳会談でも台湾に関しては話題にならなかったことで「我々は少し驚いた」と振り返った。

① トランプ大統領「自らの在任中に中国の台湾侵攻はない」TBS NEWS 251103

 トランプ氏は、中国は武力行使の「結果」を知っているからだと強がりながら、 米側の対応への言及を避けた。中国側からいくつかの前提条件を申し入れた上 の発言だったと推察されるが、その後、トランプ発言を肯定も否定もしていない。 最近の貿易戦争「休戦」合意と合わせて、米中間の台湾をめぐる軍事衝突の危険性は当分遠のいたと判断できよう。

  しかし2005年に採択された「反国家分裂法」には、三つの前提条件の下では 中国は「非平和的手段を放棄しない」と明記されている。

② 反国家分裂法20050314

 「台独」分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ台湾を中国から切り離す事実をつくり、(外国の介入など)台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる。

 台湾による分離独立、外部勢力の介入などに対して「軍艦出動」の権利を放棄 しないことを法律で規定した。

 高市発言は、このような台湾や米国に由来する戦争挑発のケースをひっくる めて、前提なしに中国の「軍艦出動」に自衛隊が軍事介入するのだとのメッセージを発したことになる。だから①で引用したBBCの解説も、中国側は「日本の指導者は『台湾独立』分離主義勢力にどんなシグナルを送ろうとしているのか」を重大視したことを挙げた。

 シンガポール首相も11月19日のインタビューで日中紛争の早期解決に期待を寄 せつつ、「台湾独立の動向が唯一の戦争を引き起こす理由」と語った。

黄循财希望中日化解纠纷 不预见台海爆发战火 | 联合早报251120

「予見できる将来において(台湾海峡で)戦争が発生する可能性は高くない」 「台湾が一方的に独立を宣言するなど、レッドラインを越えるような事態がない限 り、中国は一方的あるいは理由もない行動を取ることはない」

 「台独」はほぼ唯一の戦争を引き起こす理由と指摘される中、日本の首相が「とも かく中国の軍艦が出れば日本が介入する」と言わんばかりであることは、この「唯一の理由」があっても日本は中国の反撃を妨害することに出ると受け止められる。


人民日報公式アカウントに掲載された高市政権への「七つの質問」にもそれに言及。

④ 这7个问题,日方必须说清楚_人民日报客戸端251120

 質問 3:「台湾独立」勢力にどんなシグナルを送ろうとしているのか。高市氏他右翼政客は「台独」勢力と密通し、両岸の対立と対抗を悪意持って挑発し、台湾海峡の緊張を煽っているのではないか。

 質問4:中国の核心利益に挑戦し、中国の統一を阻害しようとしているのか。


 高市発言の「事の重大さ」に、ついに人民解放軍機関紙に「重大な警告」を送る解 説文が掲載された。

⑤ 叫嚣武力介入台海局势只会把日本引向不归歧途 - 解放军报251116

 1,「現職の日本首相が台湾海峡情勢への軍事介入の可能性を明示したのは初めて。その近年の軍事力増強の取り組みが封じ込め志向であることを裏付けるものであり、 平和憲法を破り、軍事的手段を用いて他国の内政に干渉しようとする日本政府の野心を露呈するもの。

 2,もし日本が台湾海峡に軍事介入すれば、日本政府の極めて危険で誤った判断によって、日本国民と国家が破滅に陥ることは容易に予見できる。第一に、周辺環境の悪化を招く。(中略)建設的で安定した日中関係の構築は不可能となる。第二に、日本全体が戦場となる危険性。日本は、北海道から沖縄まで数十の空港と港湾を軍民共用インフラへと転換している。(中略)日本が台湾海峡に介入すれば、国民全体が自滅的な戦争機械に縛り付けられることになる。第三に、日本は軍国主義の過ちを繰り返すという危険な匂いを国際社会に感じさせる。

 近年、日本が台湾問題にかなり首を突っ込めていることに、中国側は前から警 戒感を高めている。王毅外相は今年3月の全人代記者会見で警告を発した。

⑥ 王毅正告:借台湾生事,就是给日本找事250307

「一つの中国」原則は、中日関係の政治的基盤だ。台湾が中国に復帰して80年経つのに、日本国内には依然として、台湾独立勢力と密かに結託する者がいる。厳粛に警告するが、「台湾有事は日本有事」と鼓吹するより、台湾に問題を起こすことは日本にトラブルを招くことと心に留めるべきだ。


にもかかわらず、その後、日本の台湾コミットはますますエスカレートした。

⑦ 日本の元統合幕僚長、台湾の政務顧問に異例の就任…中国「外部勢力と結託し独立と挑発を企てることは成功しない」 : 読売新聞250321

⑧ 台湾外交部長が異例の訪日、古屋氏や高市氏らと会談代表処を視察:朝日新聞250725

⑨ 台湾の蔡英文前総統、私的な日程で日本訪問 中国外務省は日本側に抗議 (日テレNEWS NNN) 250910


 かつて退任した李登輝氏が来日することに対し、中国が反対し、「東京に来ず、治療目的に限定」で合意したが、今や、堂々と来て要人と会うようになった。

 4 月下旬、高市氏が台湾訪問で、中国を排除した「ハイテク分野のクリーンな供給網(サプライチェーン)を構築せよ」「台湾も日本もお互いに防衛力を強くせよ」と発言。⑩ 自民党・高市早苗氏「日台で供給網作り」提唱、台湾総統と会談 - 日本経済新聞250428


 台湾一辺倒の高市氏の今度の政権獲りに貢献し、自民党副総裁に就任した麻生氏は一昨年、「日台米、戦う覚悟を」と叫んだ。

⑪ 日台米、戦う覚悟が台湾海峡の抑止力=麻生自民副総裁 | ロイター230808

 これらの背景があったにもかかわらず、高市内閣の発足一週間後、日中首脳会 談が実現したことは自分の予想外だった。恐らく中国外交部主導で、対日重視を 示し、首相就任後の高市氏は歴代首相と同じように、個人のカラーを封印し、正 常な対中外交になることへの期待も込めたと考えられる。

 しかし中国首脳部は直後に「裏切られた」と感じたのだろう。高市氏は APEC 参加の台湾代表と会ったのを写真付きで「台湾総統府資政(顧問)」との肩書着 けて SNS で発信した。会見の前例はあるが、台湾当局の肩書をつけて公に誇示 したのは初めてだ。更に11月11日、もう一人の台湾総統府資政で、台湾独立派 の前駐日台湾代表が旭日大綬章を受勲し、高市首相から勲記を手渡された。

⑫ 旭日大綬章を受章 謝長廷前駐日代表「非常に光栄」Yahoo!ニュース251112

 中国側の従来な対日疑念がこの過程で発酵し、ついに高市首相の国会発言とその後の対応で決定的な不信感を持つようになり、日本の台湾関与に「レッドラ イン」を越えるなと警告することを決意したと推察される。

四 反発理由③:薛総領事発言への「倒打一耙」

 ここで中国側の三番目の反発理由を取り上げる。薛総領事の X 投稿に対する 日本側の「趣旨と意味をすり替えた工作」と「不誠実な対応」への怒りだ。 中国語に「倒打一耙」の熟語があり、自分の誤りを棚に上げて逆に人をとがめる、 逆ねじを食わせる意味だ。薛氏のX投稿に対する「首相の首を切る」の解釈が独り歩 きし、主要メディアは一斉に中国の「無礼」、「戦狼外交」への攻撃が広げられた。

 しかし冒頭で紹介したように、木原稔官房長官は10日の記者会見で、X投稿の趣旨は 「明確ではない」と述べている。少なくともその時点で政府内部の一部から、「首相の首を切る」解釈に異を唱える疑問があったと考えられる。ところが政府、自民党、そして大手メディアはその後、歩調をそろえたかの ように、「首相の首を切る」と決めつけ、大批判を起こした。

 その後の世論調査で高市首相への支持率は上がった。高市発言の重大な過ちに 触れず、大阪総領事がいかに無礼で日本の首相を冒涜したかをテレビ、新聞、SNS で繰り返し煽ったら、誰でも誘導されて怒るだろう。

 しかしもう一度X投稿の全文を読んでみてください。前半の日本語表現は複数に連想・解釈されるかもしれないが、続いて「覚悟ができているのか」と書いていることと合わせて理解する必要がある。一括して読めば、「仮に台湾に首を突っ込めればその首を切る、その覚悟はできているか」という未来仮定式の警告に帰結するはずだ。

 実際に、中国のネットでもこの表現の中国語訳をめぐって討論に熱が入り、物好きの人から三通りの(みんなが納得する)中国語訳が整理・紹介された。いずれも未来仮定式の警告と理解されている。

 細かく解説する余裕ないため、中国語に詳しい方は是非以上の三つの中国語名訳を読んでください。(転載できなかったたため冒頭URLより原文でご確認ください。伊関)

  中国オピニオンリーダーの一人、元『環球時報』編集長だった胡錫進氏もこれ について発声し、日本側は「焦点をずらし、問題をすり替えている」と批判した。

① 中日罕见针尖对麦芒,中方浩然正气!251114胡锡进

 茂木敏充氏は、薛総領事の投稿を「高市早苗の斬首」だと意図的に曲げて解釈し、 一部の西側メディアの助力を得て、作り上げたいイメージに大衆を誘導している。 明らかに極力、問題の焦点をずらし、薛総領事発言を歪曲し、高市氏個人への「斬首脅迫」とのレッテルを貼ろうとしている。それは真の日中危機とは別の危機を作り出し、後者を利用して前者を混乱させ、すり替えることで、形勢逆転を図り、主導権を握ろうとしているためだろう。

 しかしそれはただの虚勢を張るに過ぎない。台湾問題で中国と対抗することはできないし、彼らの首相が中国について重大な誤った言論を発したことに対して、中国外交官が怒りを露わにしてはならないととやかく言う資格もない。

 気づかれているかもしれないが、その後の中国外交部、国防部の発言、そして 呉江浩大使の発言には必ず次のような表現が使われている。

 如日方胆敢武力介入台海局势,将构成侵略行为,中方必将迎头痛击!

 勝手に台湾海峡情勢に武力介入すれば、侵略行為とみなされ、中国は必ず「迎頭(頭に向かって)痛撃する

 中国政府のどの部署も、薛総領事発言と同じ趣旨、同じ立場であることを伝え ようとしているように思われる。

 薛総領事に「戦狼外交官」のレッテルも貼られた。各国の外交官ともそれぞれ のスタイルで発声するという時代。日本の元オーストラリア駐在大使も自分の戦狼外交を自慢する本を出している。

② 豪州人の対中認識の目を覚ます 『中国「戦狼外交」と闘う』(山上 信吾) | ためし読み - 本の話

 「中国問題に口出しするな」とまで露骨に牽制されたのは一度で済まなかった。圧力に耐え忍ぶ豪州にエールを送ろうとすれば、中国大使館の戦狼たちから「暴言」となじられ、「適切に仕事をしていない」とまで批判された。(中略)そんな挑発に接しても、決して口をつぐむことなく、かつ、相手と同じレベルに引きずりおろされて口角泡を飛ばすことなく、理路整然と時にユーモアを交えて反論し、豪州社会の理解と 共感を得ていく。これが私の駐豪大使生活の基調となった。

 次のインタビュー記事では同氏はオーストラリア政府から「黙れ」と圧力を加えられても勇敢に戦った自慢話と日本外務省への不満を述べている。

 ③ 前駐豪大使が明かす、豪政府の「異例の圧力」に反論もできない外務省の“お 坊ちゃん体質” | ニュースな本 | ダイヤモンド・オンライン



 ここまで来て、日本の中でも、高市発言が深刻な問題をはらんでいることを深刻に受け止める有識者の発言が増えた。

 ④ 舛添要一氏 高市首相発言は「大失策」と批判 台湾有事巡る答弁「反感がも の凄い…出口なしという感じ」(スポニチアネックス) 251115

 中国の官民の友人たちと連絡をとっているが、台湾有事に関する高市発言への反感がもの凄い」「防衛省がきちんとレクをしていれば、あのような不用意な発言はなかったかもしれない。「戦艦」などという言葉は今は使わない。どうすれば事態を沈静化できるのか考えているが、『出口なし』という感じだ。

 

⑤ 小沢一郎氏が苦言「最終的に紛争に…十分あり得る。総理自身が国の危機を招いてどうするのか」(日刊スポーツ) 251116

 「トップの相手国への攻撃的な一言で批判の応酬となり、国民感情も悪化、輸出入も減少、渡航自粛勧告から大使館撤退、最終的に紛争に至り、国民に多大なる犠牲が出る、そういうことは十分あり得る」「高市総理にはそうした認識・覚悟があってのことだろうか。総理自身が国の危機を招いてどうするのか」。

 

⑥ 小沢一郎氏が強く警告「高市総理は極めて危うい。取り返しがつかないことに なる」(日刊スポーツ) 251118二日後の内容更新:

 「就任早々この短期間で、ここまで日本の安全保障環境を悪化させ、経済不安を増大させる総理というのも珍しい」「総理の一言でここまでこじれる。だからこそ総理には高い見識と能力が求められる。以前から言うように高市総理は極めて危うい。皆がしっかりしないと取り返しがつかないことになる」。

 

⑦ 高市発言は「国家の危機」招く 日本国内からも批判相次ぐ 新華社251118

 同記事によると、東大の佐橋亮教授は、高市発言に「大変驚いた」と述べ、高市氏の説明する「存立危機事態」には法的根拠が乏しく、厳密な認定プロセスも存在しないとして、国会で個人的な感想を語ったかのようだと批判した。


⑧ 高市早苗的言论有多恶劣?这个美国人一针见血!251116

 中国紙が転載したドイツ放送のインタビューに応じたアメリカ人 Jeffrey J·Hall 神田外語大講師は、「高市発言は日本の台湾に対する立場の大きな転換を示し、事実上、自衛隊が台湾問題に介入することを公言した。これは中国が無視できない発言だ」 「1930 年代、日本が中国を侵略した際も、自国の『防衛』と『生存』のためだと主張 していた」と指摘した。

⑨ 台湾の頼清徳政権、高市首相答弁巡り中国の対日圧力を批判 「平和と安定 に深刻な衝撃」(産経ニュース)251117

 産経の記事は、台湾の頼清徳政権が高市発言を擁護し、中国を批判したことを 伝えたが、文末には、次のことにも言及している。

 (国民党)元党首の洪秀柱氏は15日、高市氏の国会答弁を「(中国への)挑発であるだけでなく台湾を危機の瀬戸際に追い込むものだ」とSNSで非難。「いかなる外部勢力も中国の核心的利益に挑戦すれば必ず失敗する」と中国側の主張を代弁した。 総統退任後にたびたび中国を訪れるなど対中傾斜を強めている馬英九元総統は「日本政府の軽率な言行を歓迎しない」と批判。「両岸(中台)問題は外国に介入させてはならない。両岸の中国人は不一致を平和的に解決できる」と訴えた。

特に紹介したいのは二人の元官僚の深み、重みある分析。YouTubeで見られる ので、ぜひご覧ください。

(冒頭URLよりご覧ください。伊関)  

⑩ (11/12)台湾危機を煽るのは百害あって一利なし(田中均) - YouTube


⑪ 古賀茂明さんに聞く!「高市発言は“戦争のスイッチ”だ」/日本だけが 知らない現実 台湾有事は“日本が起こす”?「タイミングではなく、発 言そのものが大問題」251118

 

五 早急な打開策はあるか

 薛総領事発言は実は直後一旦取り下げられた。恐らく外交担当部門は対日関係の悪化につながるトラブルを望まなかったからと推察される。しかし前述の 日本側の一連の「倒打一耙」の言動を見て、中国首脳部は、高市氏の従来の台湾傾斜の言行と近年の日本の「不穏」な動向を首相就任後の最新動向と関連づけて、 もはや看過できないと判断し、「対日反撃」に踏み切ったと思われる。

 高市首相は「事実上修正した」との弁明も聞こえてくるが、相手に通じないだろう。 中国側は、これは重大で原則的な問題であり、明確に撤回しない限り、日中関係はさらに悪化すること、すなわち中国側は更に対抗措置を取ると外交部報道官談話が強く示唆した。

 ① 外交部:日方必须立即收回错误言论,给中国人民一个明确的交代--251118 人民网

 日中関係の現状の根本原因は、高市早苗首相による台湾に関する露骨かつ誤った発言にある。この発言は中国の内政に著しく干渉し、『一つの中国』原則と中日間の 4つの政治文書の精神を深刻に侵害し、日中関係の政治的基礎を揺るがした。

 中国の核心的利益の擁護と国際正義の擁護という立場には何ら変化はない。日本は直ちに誤った発言を撤回し、自らの行動を深く反省し、方針を転換し、中国国民に明確な説明を行う必要がある。

 

 元外務省のアジア担当、交渉のプロの田中均氏は打開するために迅速に行動せよと訴えている。

 ② (11/18)緊急提言:対中関係を打開するために迅速に行動せよ(田中均) - YouTube


 新華社出身の論客ペンネール「牛弾琴」は、日本側は 12 年の「国有化」騒ぎの教訓をくみ取っておらず、今のままの対応では解決にならないと書いている。

 ③ 中国对日反制,三个新特点251118

 2012 年の日本の「島購入」茶番劇がどうしても思い出される。今回も日本が先に挑発し、中国が再び怒りの報復を繰り出した。

 10 年以上にわたる紆余曲折を経て、日中関係はようやく最悪の状態から脱しつつあった。ところが高市早苗氏の暴言によって、この改善は突如として頓挫し、深い淵に突き落とされそうで、実に心を痛める。

 高市氏の挑発行為は、日本がそのような思いを完全に払拭するまで、中国によるより断固で強力な反撃を受けていくだろう。この核心利益の問題において、中国に妥協や譲歩の余地はないことを国際社会にも真に認識させることになる。

 

 筆者も、十数年前の二つの事件の「覆轍」を辿っていると直感した。

 2010 年の「漁船衝突事件」で船長が長く拘束され、中国側は抗議と解放要求を繰り返したにもかかわらず、当時の前原外相は「粛々と対応している」と言い、主要メディアも皆この表現をおうむ返しした。「中国側の声なんか聴く必要がなく、日本の法律、 ペースでやればよいのだ」と言わんばかりだったが、温家宝首相(当時)まで重大な警告を発し、中国側が実質的な報復措置を取ると、日本政府は慌てて船長を解放した。  2012 年の島「国有化」の際も、中国側はなぜそこまで怒り、強烈に対抗措置を出したのか、その認識と理解が鈍く遅れた。2年間の激しいぶつかり合いを経て、14年秋、
係争の島を事実上棚上げにする「四項目合意」がようやく交わされた。


 出口はどこにあるか。中国外交部報道官は「従来の立場が変わらない」というような軽い表現では解決にならないと明言。今回の国会発言の問題の重大さを認識し、 高市首相は正式に発言を撤回するか、当局間同士で「台湾」をめぐって踏み込んだ 協議を通じて、より具体的な約束に合意するか。それをしない限り、中国の対日批判と牽制、中国社会の対日憤慨がエスカレートしていくのは目に見えている。

  首相の言動で誘発された危機を乗り越えた成功例は一つある。1985年、中曽根首相(当時)が A 級戦犯を合祀した靖国神社に参拝したのに対し、中国は今回と同じように猛烈に怒り出し、「反日デモ」は全国で起きた。確かに後藤田官房長官(当時)が 中国側と裏交渉をし、「首相、外相、官房長官という国を代表する三役が在任中に参拝しない」(言い換えれば、他の高官の参拝は「批判するが政治問題としない」)との 密約が交わされた。双方ともその後、「密約」の存在を言わないが、実際は密約通りのやり方で今日までの歴史問題をめぐる「均衡」を保った。2014年の歴史問題や「島」 をめぐる「四項目合意」も参考になるかもしれない。

 外務省アジア太平洋局長が北京に赴いて交渉したが、ほぼ成果ゼロ。局長レベ ルとこれまでの言い分では中国側の軟化を引き出すのは無理だ。しかし高市政権の周りにはかつての伊東正義、後藤田正晴、野中広務などのような傑出した双方に影響力ある人はいるだろうか。

 日本側局長を見送る中国側局長は両手をポケットに入れたままだった写真(下、左) が出て、中国側の傲慢、無礼を非難する声はまた上がった。自分はすぐ、似たような 場面を20年前に見たことを思い出した。


(写真は冒頭のURLからご覧ください。伊関) 

 

 05 年の「反日デモ」で北京大使館に投石されたとして町村外相(当時)が王毅大使 (当時)を呼んだ時の場面だが、Y などの大手新聞は上の写真(右)を大きく掲載し、 「中国が謝罪した」と伝えたかったのだろう。以下はその真相を暴露した中国側記事。  

④ 如何阅读新闻--从一则日本新闻谈起080416  

 実際は中国大使は謝罪をしておらず、ソファーに座り込む過程の一環(左)で、連続写真から一 枚の「謝罪写真」を捏造した典型例だった。

 王毅大使は苦笑しながらこの写真が撮られた一部始終を話してくれたことを今でも覚えている。  

 当時の駐日大使は今の外交部長だ。めぐりあわせなか、やり返しか、どっちもどっちか。

 

 この号を仕上げようとしたとき、 中国の 10 億人以上使っている SNS 微信(WeChat)に、「あのウ クライナ戦争はいかに悲惨かみんな見ている。台湾攻略はそれより更に10倍も代価 が大きい」と解説する記事を見つけた。

 ⑤ 武统台湾的难度和代价远超多数人想象,是俄乌战争10倍以上!251115

 武力行使による統一を叫ぶ人もいるが、実際に戦場に赴くのは20代前半の若者たちであり、損害を被るのは一般市民であり、後始末は次世代に委ねられることになる。 国は14億人の人々に対して責任を負っている。ロシアはウクライナに対して戦争を開始したら、今や止めようとしても止められない。サンクコスト(埋没費用)が高すぎる。中国は決して同じ覆轍を踏むな。


 この記事が広く読まれ、転送されていることから、中国の学者は冷静な認識を有していること、当局もこのような学者の声を通じて、一部の過熱したナショナリズム(どこの国も存在)に歯止めをかけようしていることが読み取れる。

 逆に日本社会では「台湾有事」「中国の侵略」を騒ぎ、安保三文書の改訂を急ぎ、 首相まで過分に威勢の良い声を発している。なぜだろうか。

 中国側には、政府への「全面反撃」が民間交流に影響しないよう配慮してほしい。 日本側には、中国の勃興、米中G2を含む世界の趨勢を見極め、「抑止力」なんか非現実的なことを考えず、逆に海峡両岸の中国人の平和統一を支持することを表明してほしい。人工知能の時代に入り、国境を超えた東アジアないし人類の共同体は遠い将来の夢ではなくなった。日本と中国はまず目の前の波風を克服し、次は真に歴 史的、心理的障害を乗り越えて、責任あるアジアのG2になれるか。(了)

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「高市首相発言に対する意見文」 沖縄高校生平和ゼミナール

 

“ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会”の月野桃子さんからのメール「高市首相発言に対する意見文」(沖縄高校生平和ゼミナール)を転載します。(伊関)

皆さま

ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会の月野と申します。
沖縄の高校生平和ゼミナールの皆さんが、いわゆる「高市発言」に対する意見文を発表されました。
胸を打たれる素晴らしい内容です。
ぜひ多くの人に届けたく、ご了承を得て投稿いたします。
お広げください。
よろしくお願いします。


沖縄高校生平和ゼミナールのインスタグラム

https://www.instagram.com/p/DRbUMtgko_s/?igsh=MXZ6ZXprMno0cnVkYg==

月野桃子

 

「高市首相発言に対する意見文」

今回の高市首相の台湾有事に対する発言について、自分の立場をわきまえずに軽率な発言をしてしまうということに、恐ろしさを感じます。日本という国を代表する立場だということをもう一度認識し、その立場にいる人間の持つ言葉の影響力をちゃんと理解して欲しいです。個人として友達や家族と議論するのと、首相として発言するのとは、言葉の大きさが全く違います。
高市首相の発言によって、今、多くの人が隣国との交流の機会や仕事を奪われています。国と国の攻防が頭上で飛び交い、私たちは置き去りにされています。
非核三原則を見直すとも言っていますが、それは戦争すると発言しているのと同等です。なぜなら憲法9条では武力による威嚇を禁止しているからです。特に、非核三原則の一つである「持ち込ませず」をなくせば、「有事の際には沖縄の米軍基地に核を持ち込める」という復帰時の密約のために、沖縄は再び核の島になる可能性が高いです。私たちは沖縄が再び戦場となることも、核の島となることも、拒否します。
外国人との分断を生み、排外主義を育て、国民には戦争不安を煽って、熊本を皮切りに日本各地へ長距離ミサイルを配備し、スパイ防止法案を制定しようとしています。戦前と何が違うのでしょう。あの歴史を繰り返さないために、今、多くの人が反対の声を上げています。平和は武力による威嚇では守れません。政府がやるべきことは、戦争への備えではなく、戦争をしないための外交です。いつまで、アメリカの言いなり政治を続け、国民を犠牲にするつもりですか。私たちが欲しいのは、武力や戦争ではなく、当たり前の人権と、平和です。
子どもが「核反対、戦争反対」と言えるのに、政府はなぜその一言も言えないのか、なぜ戦争をそそのかすような発言をするのか、私たちには全く理解できません。
人間は思考できる生き物です。核やミサイルなどの武力解決は、「人」の死を想像せずとも「敵」を大量に殺せるから簡単でしょう。でも、そうしたら、人間らしさというものはどこに行ってしまうのでしょうか。武力でなんでも解決するなら、私たちが持つ思考する能力や、自分と違う立場の人間を想像する能力を持つ意味は一体どこにあるといえるのでしょうか。もっと根本的な部分から考えていこうと言いたいです。
もしも戦争が起きたときに、一番被害を受けるのは私たち市民です。中国との緊張がこれ以上高まって戦争に向かわないように、一刻も早く発言を撤回し、武力ではなく話し合いで平和を保とうと努力をすべきです。もっと自分の言葉に責任をもち、国の代表なら口撃ではなく、私たちの人権や平和な生活を守る外交をしてください。

2025年11月23日
沖縄高校生平和ゼミナール


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薛剣総領事へのペルソナ・ノン・グラータに断固反対!
(2025年11月24日)

高市首相の中国への内政干渉(宣戦布告ともなりかねない)「台湾有事・存立危機事態」発言に、薛剣総領事は「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない。覚悟は出来ているのか。」と強烈な怒りのコメントを発した。これに対して自民党小林鷹之政務調査会長や吉村洋文日本維新の会代表などから薛剣総領事へのペルソナ・ノン・グラータを求めるとの発言があり、特に吉村氏は「総領事が主催する行事やイベントに、僕は大阪府知事として出席しません」と述べた。

小林氏や吉村氏の発言は、問題の軽重、是非をわきまえない軽率な発言であり、深刻な懸念をもって断固反対する。

かつて日本軍が行った「殺し尽くす、奪い尽くす、焼き尽くす」の侵略戦争の惨禍、辛酸苦痛の限りを受けた中国の人々の気持ちに思いをいたせば、薛剣総領事の怒りのコメントは寧ろ当然だ。高市首相国会答弁は、「再び(残虐な)日本軍(自衛隊)が侵略してくる」との強烈な危機感を中国の人々に与えてしまっていることに何故気づけないのか!万が一、日中戦争が現実となってしまえば、日本にとって破滅的結果となることに気付くべきだ。安直な好戦気分の付和雷同は危険の極み。薛剣総領事へのペルソナ・ノン・グラータなど論外。高市首相の発言撤回ないし引責辞任の一刻も早い実行を強く求める。

とりわけ、吉村知事は今年開催された「大阪関西万博」では薛剣総領事から多大な協力を受けている。にもかかわらず、ペルソナ・ノン・グラータを求めるとは、「恩を仇で返す」背信行為だ。

強烈な怒りのコメントを発した薛剣総領事だが、実際には実に温厚な人柄で、私のような一般市民でも分け隔てなくフレンドリーに接してくださる方だ。そして、何よりも大変な親日家だ。そんな薛剣総領事を間違ってもペルソナ・ノン・グラータにしてはならない。日本外交の禍根となる。

重ねて訴える。

薛剣総領事へのペルソナ・ノン・グラータに断固反対する!

高市首相の「台湾有事・存立危機事態」発言撤回ないし引責辞任の一刻も早い実行を強く求める。

伊関 要

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中国政府が日本政府に猛抗議 日本への渡航見合わせを呼びかけ・・・何でこうなった?                                  (働き人のいいぶん2025年11月18日号より)

問題の発端は、高市首相が国会で中国が台湾を海上封鎖した場合は、自衛隊が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」(注)になり得ると答弁したことです。

 

わかりやすく言うと、たとえ中国が日本を攻撃していなくても、日本は中国を攻撃するかもしれないと言ったのです。

7日の衆議院予算委で立憲の岡田克也議員の質問に対し、首相は、
①海上封鎖のために中国軍が武力を行使
②米軍が海上封鎖を解くために来援
③それを防ごうと武力行使が発生――との条件を提示し、
「どう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と述べました。

(注)「存立危機事態」ってどういうこと?

「存立危機事態」というのは、2015年安倍政権の時に導入された「平和安全法制」で、「武力攻撃事態法」を改正して取り入れた考え方で、「アメリカが攻撃され、日本の存立が脅(おびや)かされる危険が発生した場合、日本は参戦できる」とされています。

 この法律は「日本国憲法」に違反しているので、ただちに廃止するべきですが、高市総理はこの法律にもとづいて、中国が台湾を海上封鎖し、アメリカと中国の間で武力衝突がおきれば、日本への攻撃がなくても、自衛隊は参戦しうると明言したのです。

アメリカと中国が武力衝突したら、
日本の存立が脅かされるの?

それはありえます。日本には米軍基地があります。米軍は日本政府の許可がなくても米軍基地から出撃したりミサイルを撃つでしょう。アメリカがアジアで戦争を起こせば、私たちの町や村、山河は自動的に戦場になります。アメリカの戦略は、アメリカ本土は絶対に戦場にしない、よその国でよその国どうしを戦わせて、アメリカは武器を売って儲ける、= 「アメリカ・ファースト」です。

 アメリカの軍艦の上で「イェーイ」と浮かれている女性を日本の総理大臣にしていると、私たちの命が危うくなります。

 

台湾は中国の領土の不可分の一部

これは日本もアメリカも、中国と国交を正常化したときに確認したことです。この外交上の約束を破り、中国と台湾の問題に介入することは、明らかに内政干渉であり、自衛隊を出せば侵略です。

中国は台湾を武力で統一しようとしている?

中国にはこの台湾問題を解決する道筋を示した「反分離独立法」という法律があります。ここに書かれていることは、「祖国の平和統一をめざす」ということです。そして「平和的手段による祖国統一の実現は、台湾海峡両岸の同胞の根本的利益にかなうものです。国は最大限の誠意をもって平和的統一の実現に全力を尽くします。

平和的に統一された後、台湾は本土とは異なる制度を導入し、高い自治権を持つことができます。」

ただ、「台湾を中国から分離・独立させようとする勢力が、何らかの手段で台湾を中国から分離した場合、または台湾を中国から分離する大きな出来事が発生した場合、または平和統一の可能性が完全に失われた場合、国家は国家主権と領土保全を守るために非平和的手段およびその他の必要な措置を講じることができる。」としています。

ただしその場合、「国家は、台湾の民間人および台湾の外国人の生命、財産、およびその他の正当な権利と利益の安全を保護し、損失を減らすために最善を尽くすものとする。 同時に、国家は法律に従って中国の他の地域にいる台湾同胞の権利と利益を保護している。」としています。

また「台湾問題は中国内戦の遺産である。台湾問題の解決と祖国の統一の実現は中国の内政であり、外国勢力の干渉を受けません。」としています。

かつて中国を侵略し、1000万人~1200万人以上の人を殺害し、言葉にできないような苦しみを与えた日本が、今また「中国を攻撃するかもしれない」と言えば、中国の人たちが激怒するのは当然のことです。高市のように歴史を勉強していない無知なファシストを総理大臣にしておけば、日本はアメリカと共に世界から孤立し、経済も安全も何もかも、とんでもないことになります。すでに軍事費を増やすために消費税減税も給付金もなくなりました。(山橋)

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日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№30

 高市首相の国会における、台湾に対する中国の武力行使が行われた場合の「存立危機事態・集団的自衛権行使」発言と、それに対する中国在大阪・ 薛剣総領事の強硬なコメント、さらにはその発言(=“斬首?”)に対する日本社会の「反発?」がマスコミやネット上で騒がしく報じられています。

 マスコミによる“報道パターン”から、この報道内容に決定的な「曲解」がある事はすぐに分かりました。。少し調べただけで、案の定、真相が明らかになります。マスコミはこの“斬首”発言と、この発言の「法理」根拠を示した翌日のコメントを意図的に隠し、“感情的”に訴える“一言”だけを際立たせ、「本意」をすり替える手法です。

 是が非でも隠したかった、薛剣総領事の発言内容は、国連憲章の「敵国条項」に触れたものです。この「敵国条項」は政府や右翼が決して触れたくない、歴史改ざんと再軍備化を根底から覆す法的根拠だからです。

 国連憲章・第53,77,107条のいわゆる「敵国条項」は、敗戦国(日本など)が再び侵略に向かえば、中国などの戦勝国は国連常任理事国の批准を必要とせずに直接軍事行動を含む反撃する権利があるというものです。安倍や歴代右翼が常々「正常国家」をめざすと嘯くのは、実はこの条項の撤回、または無効化を意図したものです。

 日本が(既に受け入れているはずの)歴史事実の改ざんや再軍事化するのは明確な国際法違反であり、戦後体制を変えようとする試みと見なされます。同じく「敗戦国」であるドイツの“慎重さ”を見れば明らかでしょう。戦後の「一国覇権」のもと、アメリカによってこの条項が恣意的に運用されてきたに過ぎず、日本が「敗戦国」であるという立場を忘れ、明確に「存立危機事態・集団的自衛権行使」を公言した以上、中国がその目論みを“斬首”するのは国際法の履行であり、国際的な責任とも言えます。

 薛剣総領事の発言によって、世界はこの事実をあらためて思い起こすことになったのです。アメリカの“庇護”を失ったとき、この条項は文字通り、歴史改ざんと再軍事化を目論む政府や右翼にとっては致命的な一矢になるものです。焦点隠しに汲々とするのも当然と言えば当然でしょう。

 逆説的に言えば、不幸にして、今回の“騒動”から、日本が一貫して画策し続けていた、「加害史」をいつの間にか「被害史」に塗り替える“成果”が顕著に表れたとも言えるでしょう。

 日本が台湾を50年間にわたって植民地統治し、抵抗する数十万の台湾民衆を虐殺し、樟脳や巨木、砂糖、米をはじめ、ありとあらゆる物資を略奪し、数万の青年を「皇軍兵士」として各地の侵略最前線に送り、“砲弾の露”として消耗させ、あまつさえ残った女性たちを「慰安婦」として蹂躙し続けた歴史を日本は忘れたのでしょうか?台湾民衆をはじめ、中国民衆は決して忘れてはいません!

 戦後、日本はポツダム宣言を受諾し、無条件降伏と共に、侵略戦争を反省し、日中友好と平和共存を約束し、憲法の上でもそれを明記したはずです。台湾を含む中国人民もまた「恒久平和」を希求するという立場から、この痛恨の怨みを“保留”し、まさに身を切る思いでこれまでの罪行を赦したのです。

 その舌の根も乾かない今日、高市の発言は公然と「両岸のゴタゴタに乗じ、再び侵略してやる」と言っているに等しいものです。

 台湾を含む中国人民の怒りの深さを理解できないのでしょうか?!薛剣総領事のコメントは中国民衆の“心の声”を表したものに過ぎません。



 高市の妄言が「日中共同声明(1972)」や「日中平和友好条約(1978)」などのいわゆる「四文書」に違反していることや、その後の展開に関する「因果」や「正邪」を長々と言うつもりもありません。一つだけ付け加えるならば、日本の「9.18偽満州侵略」や、「7.7中国全面侵略」の時もこの「存立危機事態」が“錦の旗”として使われたことだけを付け加えておきます。

 日本(高市)の意図は単純かつ明白です。国内的にはこの喧噪を利用し、日本をさらに武装化=軍国化することであり、国際的には台湾をめぐって中・米を闘わせる、言い換えれば「アメリカ」をこの戦争に引きずり込んで“漁夫の利”を得ようとするものです。今もって「アメリカ一国覇権」という“美夢”に酔い痴れているのでしょう。

 さて、高市は「何をもって強大な中国人民解放軍と闘う」つもりなのでしょうか?

 日本の“先進的な?装備”のほとんどはアメリカ製の兵器です。アメリカは戦闘機や、ミサイルなどほとんどの兵器を「ロックオン」できるコードを掌握しています。最近では「印・パ戦争」でパキスタン側が「F16」戦闘機が使えなかったのも、イスラエルがイランを爆撃するのに、その戦闘機が通過する国々(*すべてアメリカの「同盟国」)のレーダーがロックオンされたのはその一例です。

 各国に提供した(売った)兵器は「アメリカの必要と思惑」に応じてのみ使用可能という現実があります。

 さて、そのアメリカは高市の期待通り、それらの兵器を使って中国を攻撃すること容認するでしょうか?

 これまた日本ではほとんど報道されていませんが、つい先日、トランプは記者会見において、記者からこの高市の発言と薛剣総領事のコメントについて意見を求められました。これまでなら:「薛剣の発言はけしからん!アメリカは確固として同盟国・日本の側に立つ!」と言うところでしょうが、実際の発言は:「同盟国は友人ではない。彼らは中国以上にアメリカを利用して利益を得ている。私は中国や習近平とはうまくやっている・・・」と答えています。脈絡からこの「同盟国」が「日本」を指すことに疑いはないでしょう・・・

 日本が仰天したのは当然として、さらに仰天したのが「台湾」です。

 日本がこの手の発言(高市発言)をすると、台湾の賴・民進党政権は鳴り物入りで「日本が助けてくれる・・・」と大々的に情宣するのがお決まりのパターンでしたが、今回にかぎっては目立った反応は皆無です!それどころか、逆に在野勢力からの攻撃材料にさえされている始末です。アメリカの“意外な”反応と変化を薄々嗅ぎ取った為でしょう。

 ・・・長くなったので、最後にアメリカの姿勢(変化?)について、詳細は省き、概略と結論だけ述べたいと思います。「民主」「共和」、さらに「タカ派」「ハト派」を問わず、「中国」は最大の「仮想敵国」であるのは当然としても、「決して直接対戦してはならない」と言う点では完全に一致しています。

 特に中国の「9.3軍事パレード」以後、(「レアメタル供給問題」を含めて)これはアメリカの共通認識と言って過言ではありません。いわゆる「台湾有事」における中・米の直接軍事衝突において、「第一列島線」は言うに及ばず、「第二列島線」でも米軍が優位に立つことはありません。万一アメリカが負ければ、「一国覇権」は瞬時に崩れ去り、逆にもし介入しなければアジア諸国の信頼(*安全保障)を失います。いわば「両難」の状況に立たされると言えます。政治的な“強硬な”発言はともかくとしても、中台両岸の戦争を避けたいというのが本音である事は疑いようのない事実です。

 賴・民進党への冷遇(「台独」姿勢に対する不快感表明、就任約2年で未だ渡米を許されない等々)、第一列島線内の基地兵員の移動(後退)、ランド研究所をはじめとする各シンクタンクによる「模擬演習」の不都合な結果、米中ホットライン設置の懇願、果てはつい先日韓国で行われた首脳会談で「台湾問題」回避、会談前後のトランプによる“歯の浮くような”お世辞(曰く:中国は偉大な国で、習近平は聡明で、偉大な指導者だ。私たちは良い関係だ・・・ウンウン)、特にこの会談をあらためて「G2首脳会談」と位置づけたことは特筆すべき変化と言えます。中国による台湾平和統一の支持表明等々、これらの兆候は明確に「台湾」をめぐる戦争回避の方向を指しています。(*無論アメリカが台湾から手を引くと言うことではなく、非軍事介入はこれまで以上に熾烈になるのは当然ですが・・・)

 中国の弱体化を謀りつつも、米中直接戦争だけは避けようとするアメリカ、戦争を挑発し、アメリカを引きづり込もうとする日本と台湾民進党・・・アジアにおける今日の“危険な”構図と言えるのではないでしょうか?

    墨面記(2025/11/15)

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日本の進路は日中友好・平和発展の大道にある
「対中国戦争」を煽る「存立危機事態・集団的自衛権行使」発言の高市首相は引責辞任せよ!
(2025年11月12日)


 【高市首相「存立危機事態」発言糾弾!常軌を逸した「対中国戦争」公言の責任をとって首相を辞任せよ!】(11/11日中友好ネット)で、「台湾問題」は中国の内政問題であり、「対中国戦争」は日本にとって破滅的暴挙だと指摘しました。

 では、日本を破滅に導く暴挙を避けるにはどうすればよいでしょうか。それは「対中国戦争(日中戦争)」ではなく“日中友好”を進めることです。中国の外交方針の基本は平和発展です。

 台湾問題の中国の基本方針も“平和統一”が大前提です。「台湾独立」というレッドラインを超える場合に限って「武力統一」の選択肢も放棄しないと、“平和統一”の例外中の例外として極めて限定的な位置付けです。メディアが勝手に「まじかに迫る武力統一(武力侵攻)」を騒ぎ立てているのです。

 中国外交の基本・平和発展を具現化したものが“人類運命共同体”構想です。“人類運命共同体”を平たく言えば「ウィンウィン、共存共栄、民主的な国際秩序の構築」と言ったところです。中国はアメリカのように「単独覇権」に固執していません。

 そして、中国は日本に対しても ①日中共同声明(1972) ② 日中平和友好条約(1978) ③ 平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に関する日中共同宣言(1998) ④ 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008) の4つの政治文書を基礎に、真摯に“日中友好”を希求しているのです。

 こうして日中関係を俯瞰すれば、「対中国戦争(日中戦争)」の必然性は皆無です。しかも、日本の最大貿易相手国は中国です。世の中に最大のお得意先と喧嘩をする愚かな経営者がいるでしょうか?!

 (世にもまれな愚かな経営者)高市首相には「存立危機事態・集団的自衛権行使」発言の責任を取って辞任していただき、日中友好・平和発展の大道に日本の活路を切り開きましょう。

(伊関要)

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高市首相「存立危機事態」発言糾弾!
常軌を逸した「対中国戦争」公言の責任をとって首相を辞任せよ!
(2025年11月11日)

高市首相は、11/7衆議院予算委員会で、「台湾有事」は(日本の)「存立危機事態」にあたり「集団的自衛権行使」ができると明言し、具体的に自衛隊が出動して中国と戦争をすると公言しました。その後、野党からの発言撤回要求を拒否しました。「存立危機事態・集団的自衛権行使」発言の責任を取り、高市首相は辞任すべきです。理由は次の通りです。

① 「台湾問題」は中国の内政問題。日本が首を突っ込むことのできない問題。

② 日中の国力、軍事戦力の差を見れば、「対中国戦争」の結果は第二次大戦敗戦以来最大の戦禍による国民の犠牲と国土の戦災廃墟化は免れない。

③ ①、②の結果の重大性を理解せず「対中国戦争」を公言する高市首相は無責任の極みであり首相としての能力・適性に欠けその任に堪えず、よって高市首相は辞任すべきです。


「台湾問題」は中国の内政問題

台湾は日本が日清戦争で中国から奪い植民地にしたところです。元来、台湾は中国の不可分の一部でした。台湾は、1945年にポツダム宣言による日本の中国への降伏で中国へ返還されました。1971年の第26回国連総会決議2758号により中華人民共和国が中国を代表する唯一合法政府であり、(台湾は)中国の不可分の一部であることが(国際的に)確定しています(一つの中国の原則)(一つの中国の原則は、日中間でも日中共同声明、日中平和友好条約など4つの政治文書で、米中間でも上海コミュニケなど3つの共同コミュニケで確定)。要するに、台湾問題は、中国の内政問題だということです。従って、「台湾独立支持」「台湾有事は日本有事」の言動は内政干渉の不法行為です。にも拘らず、これら言動が日本でおおでをふるのは、かつての植民地支配者・宗主国国民としての歪んだ優越感が日本人に色濃く残滓しているからではないでしょうか。

「台湾武力統一の選択肢は放棄しない」の発言は、毛沢東~鄧小平~習近平と歴代中国指導者の談話などで繰り返し述べ続けられてきた中国の台湾問題の伝統的基本政策の一つです。ところが、メディアは最近突如として習近平主席が「台湾武力統一」と(あたかも習近平主席が初めて)言ったとして大騒ぎを始めました。情報源は米国のシンクタンク、将官、高官の発信、発言です。時を同じくして「台湾有事は日本有事」の記事がメディアを席巻します。軍産複合体と巨大金融資本が操る「戦争国家アメリカ(WARmerica)」の圧力のもと、大軍拡と南西諸島・琉球弧をはじめ日本列島要塞化、長射程ミサイル配備が始まりました。アメリカの意図は、大発展する中国を抑え単独覇権を維持し、軍産複合体と巨大金融資本の利益を最大化することです。そのために、日本を「対中国戦争」の駒として利用しようとしているのです。

台湾問題は、元をただせば国共内戦(1946年~1949年、中国共産党と国民党の内戦)に起因する中国の内政問題です。国連決議、日中共同声明・日中平和友好条約等の4つの政治文書で「台湾は中華人民共和国の不可分の領土の一部」であることを日本は承認しており、台湾政府の側に立って内戦に介入し、中国に戦争を仕掛ければそれは国際法上侵略戦争にあたります。中国に対し「敵基地攻撃」で先制攻撃をすれば、それは日本による不当な侵略戦争であり、中国側の反撃は自衛権行使の正当行為となります。万が一、台湾独立阻止の中国の武力行使があったとしても、日本は中国の内政問題である「台湾問題」に介入などできないのです。

「対中国戦争」のリアル

万が一「対中国戦争」が現実になった場合どうなるかをChatGPTで調べてみました。

🇨🇳 中国 vs 🇯🇵 日本 主要諸元簡易比較(2025年想定)                                            

指標 日本 中国 中国は日本の何倍?
人口 約1.24億人 約13.9億人 約11倍
名目GDP 約4.4兆
ドル
約17.5兆
ドル
約4倍
国土面積 約38万km²
約960万km² 約25倍
軍事予算 約500億
ドル
約2,300億
ドル
約4.6倍
現役兵力 約24万人 約200万人 約8倍
海軍艦艇数 約150隻 約370隻 約2.5倍
戦闘機数 約340機 約2,000機 約6倍
エネルギー自給率 約12% 約80% 約6~7倍
GDP(購買力平価) 約6兆ドル 約30兆ドル超 約5倍

「対中国戦争」における日本の被害

被害想定

数万〜十数万人の死傷、インフラ麻痺、数百万人避難

経済損失

GDP10〜20%減、長期停電・輸送遮断

社会影響

治安悪化、生活基盤崩壊、心理的ストレス増大

死傷者~十数万人、インフラ麻痺、数百万人避難、GDP〜20%減、長期停電・輸送遮断、治安悪化、生活基盤崩壊。国力、戦力とも日本に数倍する中国に戦争を仕掛けた結果です。この結果を高市首相は理解できないのでしょうか。あるいは、アメリカの駒となって、国民の犠牲や国土の荒廃を顧みず「対中国戦争」を実施し、自分はサッサとアメリカなどに逃げ込み優雅な余生を目論んでいるのでしょうか。いずれにしても、「国民の生命財産、日本の安全を守る首相の任務」を放棄する犯罪的行為です。高市首相の辞任を重ねて強く求めます。

(伊関要)