日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№32

今回は2つの話題を提供します。

1、25年度、中国の貿易黒字が1兆ドルを突破

 米中の貿易摩擦の真っ只中、世界のアナリストを驚かせた数字が公表されました。

 2025年11月、年末まで後一ヶ月を残して、中国の貿易黒字が既に1兆ドルを超えたそうです。「1兆ドル」と言ってもまったく実感がないと思いますが、これは“人類史上”初めての数値で、世界の貿易黒字額の半分を占めるそうです。恐ろしいほどの数字と言えるでしょう。

 中国にとって最大の貿易国であったアメリカからの「相互(?)関税」攻勢の真っ只中の数字ですから、世界が驚嘆するのも当然でしょう。その実、対米輸出に限ってはマイナス29%を記録しています。

 この大きな「穴」を埋めたのが、EUやオーストラリア、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ各国です。

 もちろん、経済通念から見れば、この“過大な”「貿易黒字」は“良いことずくめ”ではなく、“弊害”が伴うのは当然ですが、少なくとも、こと中国に対するトランプの「相互関税=高関税」攻撃はまったく効果が無く、逆に中国製品がもつ「強靭さ」をあらためて世界に見せつけた結果となったのです。

 以前にも紹介したように、中国は既に世界で唯一、国連の国際標準産業分類(*41の工業大分類、207の工業中分類、666の工業小分類)のすべてにおいて、独自の整った現代型工業システム(サプライチェーン)を構築しています。宇宙ステーションや新エネルギー産業と言った最先端産業から、果ては紙マスクや使い捨てライターに至るまでのすべてを網羅しています。

 中国が世界に提供する安価で高品質な製品(*部品類を含む)抜きに、世界の消費も、生産も廻らないのが現状です。

 トランプによる「相互関税」攻撃で、中国の「レアメタル」等が注目されていますが、その実、中国の最大の優位性はこうした「戦略物資」だけにあるわけではなく、完璧なサプライチェーンを有する製造業と、世界最大の「単一市場」にあります。

2、こうした強靭な製造業を背景に、軍需産業においても近年、目を見張るばかりの進歩を遂げています。

 このイノベーションを支えるのが、強大な製造業と共に、主要技術の「官・民共用システム」です。軍事技術と民用技術の分離によって「経済衰退」を招いた旧ソ連の政策を“反面教師”として築き上げた国家戦略とも言えるでしょう。

 本年の11/25、四川省にある民間企業が「極超音速ミサイル」の開発に成功し、すでに量産体制に入っているというニュースが世界を震撼させました。

 このミサイル(YKJ-1000)の射程は1300㎞、最高速度マッハ5~7倍の極超音速ミサイルです。アメリカが国を挙げて開発に努めながら、今だ完成できず、当然実戦配備していない「怪物」を、中国では従業員僅か数百人規模の中小企業が作り上げたのです。おまけに、こうした製造がほとんど汎用部品だけで作られ、その製造価格はこれまでの数分の一ということです。これは決して例外的なことではなく、本年初頭に世界を震撼させたAI「Deek Seep」を例に挙げるまでもなく、各種「ドローン」の開発や「新エネルギー」関連では既に日常のこととなっています。

 かつて、アメリカは世界中から先端技術や優秀な人材を吸収し続け、科学界のイノベーションをリードする存在でした。ところが現在ではこうした“優秀な人材”の多くは、手っ取り早く金儲けができる「金融」等の“虚業”に流れています。片や中国ではアメリカ+ドイツ+日本・・・の「総和」を超える年間数百万人の理数系の科学者や技術者を輩出いています。「Deek Seep」や今回の事例を挙げるまでもなく、その開発に携わった技術者のほとんどは留学経験さえない、国内で育成された若者たちです。

 中小企業や個人であっても、自由に国家級の技術と成果にアクセスできる研究環境の“成せる技”で、企業間の機密保持を宿命とする資本主義企業では絶対に不可能な態勢と言えます。

 軍事(兵器)関連でもう一つの“ビッグニュース”があります。

 12月11日、無人機「九天」のテスト飛行に成功したというニュースが伝わっています。この無人機は未来の戦争を根本的に変えうる兵器です。無論アメリカもずっと以前から血眼になって開発に勤しみながら、今だ「概念」の段階です。

 この「九天」は私たちがもつ「ドローン」のイメージからかけ離れたものです。何しろ飛行重量が16トン、積載重量が6トンという巨大なもので、飛行距離も 7000㎞に達します。因みに、アメリカの最新鋭の無人機「MQ-9」を遙かに上回る性能(*積載重量1/3以下のわずか1.7トン)を有しています。

 その「巨体」以上に、その機能に世界の軍事筋に震撼が走っています。各種のミサイル類を搭載できるばかりでなく、格納庫に約200機の小型ドローンを搭載し、それを一気に放出することができるのです。いわば空の「母船=空母」と言える存在です。これまで「スターウォーズ」あたりの「SF」の世界でした見ることのできない「怪物」です。

 そればかりか、これら数百機のドローンはすべてAIによって制御され、それぞれが偵察、測量、攻撃など独自の任務をこなすことができます。

 ウクライナ戦争で証明されたドローンの効用を、戦術レベルから戦略レベルに引き上げたものです。

 この「飛行距離7000㎞」という数字は、これまでのドローンの飛行距離がせいぜい数十㎞という弱点を補い、中国本土から発射しても、アラスカやグアム(第2列島線)に余裕で到達できる距離です。これまでは空母や戦闘機の出動が必要であったものが、コストや人命の危険を考慮する必要がありません。単なる“兵器の改善”という領域を超えて、作戦形式そのものの抜本的変化と言えるでしょう。第1列島線は言うに及ばず、第2列島線に至る戦場で、戦闘員が一人も出動することなく、数機の「九天」から千機を超える攻撃ドローンが放たれる光景を想像してください・・・

 因みに、この1機数万ドルのドローンを迎撃するミサイルが1機数百万ドルかかることを考えれば、アメリカにとってそれはまさに「恐怖」そのものでしょう。

 何故アメリカでは作れず、中国が作れたのか、先に述べた完璧な「製造業」と「官民共用」という戦略思想によるものでしょう。「九天」の使用部品の国産化率は90%以上です。しかも開発当初から、一般の輸送業務や災害時の救援用など、「軍民共用」の設計で大幅なコストダウンが図られています。アメリカやどの資本主義国家では決してマネのできないものです。

 「敵を見くびり、自らを過大評価する」とき、戦争は起こります。つい先日、アメリカの『ニューヨークタイムズ』が国防省の対中戦争のシミレーションで「勝算無し」とする機密報告書をリークしましたが、正直なところ、この「結果」に何の驚きもなく、アメリカにまだ“理性”が残っていることに“安堵”したくらいです。

 片や20年も前の「中国」を夢想し、古典的な戦争スタイルしか想像できないまま、中国に対し実質的に「宣戦布告」した高市や右翼政治家には是非ともこの現実を知ってもらいたいものです。日本「本土」の上空に、「九天」から放たれた数千機のドローンを目にする前に・・・



(2025/12/25  墨面 記)