高市政権の登場以降、中国官民の反応については既に多少は紹介したところですが、今回はその「最前線」に置かれている在日中国人の思いについて本「ニュース」の「番外編」として、ご参考までに紹介したいと思います。「在日中国人」たちが持つ“危機感”を少しでも皆さんと共有できればと願っています。
本編は在日中国人である林伯耀さんが、中国国内の友人たちに宛てた「春節のあいさつ」として書かれたものです。
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春節快楽!
今年の春節は、中国と日本の未来を真剣に考えさせるものです。 南京大虐殺を否定し、過去の侵略戦争を認めない政治家が、今や首相として日本の政治を率いていることに、私は強い不安と危機感を持っています。
今年2月8日、日本で衆議院選挙が行われました。この日は日本の歴史に暗黒の日の始まりとして記録されるかもしれません。歴史を振り返ってみましょう。ドイツ・ナチ党は1932年7月31日にドイツの選挙で最大政党となり、1933年1月30日にその指導者ヒトラーが首相に任命され、議会は2日後に解散されました。
3月5日の議会選挙では、ヒトラーの個人的な人気に影響されて、ナチ党は得票率43.9%を獲得し、連立政権は議席の半数以上を獲得しました。これは、高市政権が国会で中国について挑発的な発言をした後、日本民衆の人気を得て、国会を解散した状況に似ています。ドイツでは、選挙直前の2月27日、国会議事堂放火事件が起きると、「共産主義者の策謀」だとして共産党弾圧に乗り出すとともに「国民と国家の防衛のための緊急令」を出して、憲法が保障する人身の自由、意見表明の自由、結社の自由など国民の基本権を停止し、共産党員を一網打尽にしました。その後のドイツではナチ党は完全に単独で多数派を掌握しました。 3月23日、ヒトラー内閣に対する「全権委任法」が可決され、国民議会の立法権は内閣に吸収され、議会は形骸化しました。
ヒトラー率いるナチス政権は「アーリア人」の優先を提唱し(日本人ファーストと同じ)、人種と民族の排外主義を煽り、ファシズムの道を進み始め、外国人であるユダヤ人、シンティ・ロマ(*「ジプシー」)、身体的・知的障害を持つ人々、異端者(政治的意見の異なる人、組織)を排除・隔離・弾圧し、最後には絶滅の手段をとりました。(共産党と社会民主党は非合法化されました)
現在、高市首相率いる自民党も衆議院の3分の2の議席を保持し、憲法改定を開始する条件を備えました。高市政権の方向性は明確で、平和憲法の改悪、日本の軍備拡張路線を推進し、戦前の天皇制回帰につとめ、日本各地に中国にとどく長射程ミサイル基地や弾薬庫の設置、米国からの大量の兵器購入、そして米国に従い、米国の世界的覇権行動を一緒になって実行することです。
中国の内政に干渉し、中国を永久に分断しようとし企図し、台湾の新たな植民地宗主となることを妄想しています。
高市政権の当面する課題は、従来の専守防衛型国家を攻撃型戦争国家へと転換することであり、国旗損壊罪の制定、国家情報局の設置、スパイ防止法制定、対外情報庁創設、外国人の不動産購入や永住申請を厳しく制限する等、ナチスがユダヤ人を排斥ていった手法と似ています。
日本が中国侵略した時期、1944年の夏に、私が住んでいた神戸で福建行商人弾圧事件がありました。 福建省福清市の13人の行商人が日本の特高にスパイ容疑で逮捕されました。
私の遠い親戚も、スパイ容疑で逮捕され、拷問を受けました。2人の同郷先輩が刑務所で亡くなり、妻たちが遺体を引き取りに行った際、遺体の顔と遺体は変形しており、それが夫かどうか判別できなかったほどです。さらに、4人が釈放直後に直ちに入院して治療を受けましたが全員死亡しました。
この事件以前にも、神戸や四国その他の地方で、福建省出身の10人以上の華僑が、抗マラリア薬キニーネ塩酸塩を購入して中国に送った、中国軍の日本に対する抵抗を助けたという理由で、スパイ容疑で官憲に逮捕され、ひどい拷問を受けました。
当時、日本にいる華僑は敵性外国人として県外への自由な移動を許されず、厳重な監視下に置かれていました。今、私はまたあのような暗黒時代が訪れるのではないかと非常に心配しています。
私は日本で生まれ育ち、そこが私の第二の故郷です。
多くの日本人は善良な人たちですし、日本と中国の間でまた戦争を起こしたくありません。今日の若い日本人は過去の侵略戦争に直接責任があるわけではありません。しかし、彼らにはその歴史を継承する責任があります。私たちは、過去の侵略戦争における日本の過ちを指摘し、日本政府と社会が過去の過ちを再び繰り返さないよう要求したい。これは被害民族にある側の者の歴史的責任であり使命です。なぜなら、多くの日本市民も過去の戦争で大きな犠牲を払ってきたからでもあります。
310万人の日本兵と民間人が死亡し、3500万人の中国兵・民間人が死傷しました。日本人であれ中国人であれ、同じ犠牲を二度と望んではいないでしょう。
私の経験から言うと、今日の日本にも、過去の侵略戦争で勇敢にも日本軍に対して反戦を呼びかけた長谷川テル(緑川英子)のように、正義感のある人々がたくさんいると信じています。これらの現代の正義感があり友好的な日本の友人と共に、私たちは日本社会と日本政府に対して声を上げ、1923年の関東大震災時の大虐殺で亡くなった同胞や、中国侵略戦争中に大陸や日本で強制連行され強制労働で亡くなった多くの同胞のために、南京大虐殺、細菌戦、化学兵器等で亡くなった同胞たちのために、そして日本軍の性暴力で残酷な被害を受けた同胞の姉妹たちのために、その名誉と尊厳を回復しなければなりません。
日本は歴史に向き合い、反省し、歴史に残された問題に正直かつ責任ある態度で対処すべきです! 加害者による深刻な被害の事実を明らかにし、日本がそれを認め責任を取れるよう、引き続き努力しましょう。
なぜなら、今日多くの日本人は過去に日本がもたらした被害の深刻さをあまりにも知らないからです。 同時に、台湾海峡の両岸の統一は帝国主義によって分断されてきた中国民族の長年の夢であることを日本人民に伝えましょう。国境を越えた人々が団結したときこそ、人民の無限の力を発揮できるのです。
私は、そうすることでのみ中日友好が深まり、日中は戦争の危機から遠く離れられると信じています。
今年の春節を出発点にし、日本の軍国主義の捲土重来を絶対に許さないという決意をしましょう。
皆さんの幸せと健康を心から願っています。祝各位万事如意、家庭幸福、身体健康!
神戸 林伯耀 春節初五
(*原文は「中国語」、翻訳は木野村間一郎さんによる)