日本のマスコミがほとんど報じない「ニュース」№14

新年を迎えて、2024年を回想すると実に面白い情景を見ることができます。
 アメリカによる「ウクライナ支援とロシア制裁」や中国に対する「先端技術禁輸」と全方位にわたる「封じ込め」のお先棒を担いだ(担がされた?)「G7」を構成するヨーロッパ各国と、アジアにおいて先兵となった日韓両国の現状を見てみましょう。

 ロシアからの“安価なエネルギー”が断たれ、アメリカの数倍も高いエネルギーを買わされた挙げ句、加えてアメリカの利己的な「ドル高政策」に翻弄されたこれら諸国では、製造業の競争力が失われたばかりか、大量の資金がアメリカに流出し続けています。
 その為に、こうした諸国の昨年の経済成長率がほとんど「0~1%」という、これまでに無い惨憺たる経済状況の中、唯一アメリカの“一人勝ち”が際立っています。無論この“一人勝ち”の中身を見れば、ほとんどいわゆる「ドル覇権」に基づく「金融操作」による“虚構”に過ぎないものです。

 もとより「経済制裁」は“他損1000に対し自損800”といわれる“下策”であることは“常識”の域に属します。イランやキューバ、ベネゼイラ、共和国(北朝鮮)等の経済規模の小さい国々対してはそれなりに有効でも、自身より経済規模の大きな国に対して行うのは正に「愚策の極み」といえます。
 この「制裁」と「封じ込め」に遭ったロシアと中国の成長率がそれぞれ約「3%強」と「5%」という高位を維持し、社会的にも最も安定してる現状は実に皮肉と言えます。

 方やヨーロッパや日韓諸国はどうでしょうか。
 既に、イタリアが極右政権に取って代わられたことは言うに及ばずドイツでは連邦議会の解散が宣言され、シュルツの下野が確定し、フランスでは国会の解散と改選があり、9月に任命されたばかりのパミエル首相が僅か3ヶ月で弾劾されて下野、イギリスに至っては、経済下落は劇的で、「失落の15年」とさえ言われています。この間、ジョンソン、トラス、スナク、スターマーと次々と交代するという前代未聞の状況が生まれています。加えて、直近ではカナダのトルドーの辞職が伝えられています。

 一方、アジアに目を移すと、日本では生産性や賃金の上昇を伴わないまま、極端な円安からくる「悪性インフレ」は改善の兆しがありません。今は「補助金」の乱発でその惨状を覆い隠すのが精一杯です。与党惨敗と「岸田」の“さじ投げ辞職”は象徴的です。
 韓国については「戒厳令ドタバタ」を例に挙げるまでもなく、言うに及ばないでしょう。ところで、この両国とも近年、対中国貿易収支がはじめて“赤字”になったのも必然です。
 お気づきかも知れませんが、(「中国敵視」を掲げて)昨年「G7」首脳会議に集まった各国の首脳たちが、再び集うことはありません。アメリカのバイデンを加え、見事に“全滅!”です。世界をリードすると自称する「G7」です!

 こうした雪崩を打ったような“崩落”は、トランプの登場によって一層厳しいものになるのは必定です。その為もあって、お決まりの“外交用語”とは裏腹に、最近では日本もそうですが、これらヨーロッパ各国の閣僚が次々と“中国詣で”に勤しみはじめています。中国側もこれらの国々との関係修復に動き始めています。(*詳細についてはいずれ別途ご紹介する予定です)
 余談になりますが、バイデンの「印太戦略」に乗っかって中国との「国境紛争」を仕掛け続けていた印度も、その“虚構(*「損得」と言うべきか?)”に目覚め、国境紛争における和解成立を皮切りに、関係修復に動き始めています。

 一方、これら国々の「親玉」であるアメリカは国を二分する「党派闘争」の泥沼に陥って、手も足も出ない状況が続いています。アメリカがこれまでに作り上げた「QUAD」、「AUKUS」、「印太戦略」、「アジア版NATO」といった対中国軍事枠組はもはや“名前だけの存在”になりつつあります。
 “カナダをアメリカの51番目の州にする”、“「グリーンランド」や「スエズ運河」をアメリカのものにする”と軍事力をちらつかせて公言して憚らないトランプの登場によって、アメリカが「偽善の冷血(バイデン)」から「野蛮な山賊(トランプ)」が闊歩する時代に入ったように思えます。
 中国をはじめとする第三世界の団結と興起が、こうした“野獣の論理”を押し止める希望の光と言えるでしょう。                             (2025/1/18  墨面)

印太戦略:インド太平洋戦略(注釈:伊関)